研究課題/領域番号 |
20K01459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
土井 美徳 創価大学, 法学部, 教授 (60306082)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | バーク / リチャード・プライス / ブリテン国制 / ウィッグ主義 / エドマンド・バーク / フランス革命論 / 古来の国制 / 国際関係思想 / 政治思想史 / 国際関係論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、バークの国家論としての政治思想が、反革命戦争のモーメントによって、18世紀の「諸国民の法」(国際法)を触媒に、ブリテン帝国論とは別様の、「ヨーロッパ・コモンウェルス」という国際社会論へと展開されていく過程を解明し、その現代的意義を明らかにしようとするものである。具体的には、ブリテンの「古来の国制」を論じた彼の国家論と文明社会論の特徴をふまえたうえで、反革命戦争の文脈で展開された彼の「正当な戦争」、「同盟」、「勢力均衡」、「国際法」をめぐる個々の諸言説の背後にあったバークの思想構造を探り出し、これまで解明されてこなかった「バークにおける政治思想と国際思想との連続性」を論証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、エドマンド・バークの政治思想がフランス革命以後に反革命思想として、いわゆる「保守主義的」な国制論・国家論として定式化される局面を明らかにするとともに、その国家論がさらに「ヨーロッパ・コモンウェルス」という国際社会論へと展開されていく過程を解明することにある。 初年度と2年度には、上記のバーク思想の転換点となったフランス革命をめぐる彼の最初期の思索を検証するために、とくにバークの『書簡集』にもとづきながら、一連の書簡において断片的かつ漸進的に表現された彼の言説の背後にあった思考構造の再構成を試みた。バスチーム襲撃事件以後、『フランス革命の省察』が刊行されるまでの短期間のあいだに上記の「保守主義的」な国制論・国家論が定式化された、いわば空白の1年間における彼の思考過程は、従来の研究において必ずしも十分に検証されているわけではないからである。本研究ではその際、考察のための補助線として、バークが当時とくに意識していたと思われるトマス・ペインとリチャード・プライスの言説を設定した。とりわけ、保守主義的なバークの言説と急進主義的なプライスの言説との「似て非なる構図」を論証することによって、『省察』におけるバークのプライス批判の思想的文脈を明らかにしようと試みた。 研究計画の3年目にあたる2022年度は、上記のようなバークの言説が、反革命戦争の文脈で、汎ヨーロッパ的視座で展開されていく局面に焦点を当てて研究を進めてきた。その言説は、バーク特有のヨーロッパ文明社会論として展開されると同時に、国家を超えたヨーロッパ共同社会を説く国際社会論でもあった。バークがこの局面で積極的に参照したのが、当時の「ヨーロッパ公法」としての諸国民の法であり、とりわけ、エメール・ド・ヴァッテルの『諸国民の法』(1758年)をバークがどう読んだのか、について考察を進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
バークが反革命を立論する際、従来の国制論をベースにしながら、帝国論とは異なるヨーロッパの国際社会論という次元で自身の思想を展開したが、その思索のなかでバークが当時の国際法の言説をどう理解し、どう応用したのか、が重要となる。バークの未公刊の資料のなかにはヴァッテルの『諸国民の法』に関する研究ノートがあり、イギリスでの資料収集を予定していたが、コロナ禍にともなう諸般の事情から現地調査の機会が得られなかった。そこで当初の研究計画を1年延長し、引き続き上記の課題について研究を継続することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
バークの未刊行の資料についてイギリスで現地調査をおこなう。とくに、シェフィールド市のアーカイブに保存されているヴァッテルの『諸国民の法』に関するバークの研究ノートについて調査し、革命戦争の文脈でバークが自身の国制論・国家論をどのような形で国際社会論へと展開していったのか、を明らかにしていく予定である。
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