研究課題/領域番号 |
20K01461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アメリカ合衆国 / 連邦制度 / 地方政体 / 移民政策 / アメリカ政治 / 連邦・州・地方の協働 / 市民社会 / 分断化 / 移民 |
研究開始時の研究の概要 |
価値の両極化が進み、異なる立場を受容する公共空間が狭まる今日のアメリカ社会において、党派的な対立は従来の社会経済的要素のみでなく、地理的要素とも呼応する。その背景には連邦制度の下で州の持つ権限が、政策領域における連邦政府との分掌を担保すると同時に、州内の下位政体の意思決定への牽制を可能にしてきた実態がある。特に20世紀後半からの南部戦略で州政府の多数派を占める共和党と、マイノリティが集住しがちな地方政体のリベラルな政策とは対立し、州政府が都市を牽制するという構図が増加している。連邦議会が対応できていない移民政策をめぐり、州と都市の政治がどのように共通空間を生み出せるかを検討していく。
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研究実績の概要 |
2022年度は先送りしていた現地調査を再開した。イリノイ州での調査を先行する予定であったが、感染状況の判断からアリゾナ州ツーソン市から調査を始めた。現地調査に先立ってツーソン市議会がオンラインで提供する市議会の議事と市民による意見表明のビデオを用いることで、ツーソン市での課題の中にどのように移民問題が位置づけられているかを確認した。特に、移民をめぐる課題への市当局による対応の背景データを入手した。 ツーソン市での聴き取り調査は、移民・難民の支援にあたっているNGOを訪問して行った。調査対象者が直前に濃厚接触者となり中止になる等、計画通りの調査を実施することは難しかったが、実施可能であった組織では、聴き取り調査のすぐ横でNGOスタッフによる支援活動が行われているなど、現地であるからこそ得られる生のデータが入手できた。今回は資料入手に留まったが、アリゾナ大学Udall Center for Studies in Public PolicyとBinational Immigration Instituteにおいて移民労働者の調査を行った。科研課題を設定した時点では、地域社会への包摂の問題を主にラテンアメリカからの移民を対象として想定していたものの、現地調査が中断されている間に生じた国際情勢の変化から、アフガニスタン、ウクライナから避難した人々への対応が各地域で始まっており、ツーソンではこうした避難民の事例も含めた調査となった。 次にロサンゼルスにおいては、現地のエスニック集住地域の経年変化の観察を行うとともに、UCLA Chicano Studies Research Center資料室において、メキシコ国境地域の移民取り締まり政策の歴史を辿る資料を集積し、移民受入れ地域と連邦政府との関係性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は調査対象の地域を当初計画と入れ替える形で実施することとなったものの、年度内に実施すべき調査と取りまとめは実施できた。ただし、研究開始直後の2020-21年度と2年にわたり、新型コロナウィルス感染症の蔓延の影響で、研究において重要な役割を持つ海外での聴き取り調査が実施できていない。その遅れを2022年度の1年間では取り戻すことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間が後半の2年間に入るため、前半で生じた現地調査の遅れを取り戻しつつ、成果の中間的な取りまとめも行っていく。特に、バイデン政権に交代した後の連邦政府の移民政策についての調査が全く実施できていないため、2020年度に行う予定で延期となっているシカゴの調査を行うことと合わせて、ワシントンDCにおいて資料収集および聴き取り調査を実施する。前半2年間の現地調査の遅れを今年度と来年度で取り戻すことは難しいと思われるため、研究期間の一年延長をも検討に含めながら、最終とりまとめを行っていきたい。
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