研究課題/領域番号 |
20K01473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 康史 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00323238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | イギリス政治 / 福祉国家 / 社会民主主義 / 政党システム / イギリス労働党 / 比較政治 / 政権交代 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の欧州諸国の政党政治では、従来の経済的対立に加え文化的対立の重要性が増したことによる対立構造の変化が指摘されている。本研究は、この枠組を福祉国家へと応用し、1990年代以降イギリスの福祉国家をめぐる政党間対立に焦点を当てて分析する。本研究では、「政党間対立構造や政党システムの多元化は、福祉国家の再編の方向性にどのように影響を与えているのか」を第一の問いとし、政党の理念的立場の分析を行う。その上で、今度は逆に「福祉国家再編への各政権の取り組みは、政党間競争や政党システムをどのように変化させているのか」を第二の問いとして設定し、各政権における福祉国家再編過程を分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の軸をなす課題は、1)福祉国家と政党間対立の変化を結合しうる理論枠組みの形成、2)マニフェストなどの政党文書に基づいた分析、3)実際の政策に関する分析に基づく政党間対立関係の変化の検討であるが、本年度においては、1)と3)を結びつけた研究成果を発表するととももに、2)に関するメソッドの検討をさらに進行させた。 前者に関しては、主に1990年代以降の労働党政権における家族政策の重点化について政策と財政のレベルで検証した。その結果、その重点化が労働党への支持連合の再編成を目指すものであり、経済的対立と文化的対立の二次元構図の中において、政党の立場のシフトをも伴うことを分析した。さらに、2010年以降の保守党政権についても簡単に分析し、それが家族政策を再び変化させることで、上述の二次元構図の中で労働党との新たな対立軸を形成するものとなっていることについても検討した。これらの研究成果に関しては、「イギリスにおける家族政策へのシフトと支持調達」高端正幸・近藤康史ほか編著『揺らぐ中間層と福祉国家』(ナカニシヤ出版)として発表予定である。さらにこのようなシフトが、特にヨーロッパ諸国の社会民主主義政党においては共通するものの、政党の分裂などの局面において各国において違いもあること、またその違いに関して各国の選挙制度が関わっている点について、イギリス・ドイツ・フランスの比較を通じて検討した。この研究成果については、「欧州の社会民主主義勢力が直面する課題:四つの圧力、二つのジレンマ」『中央公論』(2022年10月号)として発表している。 後者については、マニフェスト分析についての可能性を追求すべく、テキスト分析の手法についての検討を行った。これは、次年度も引き続き行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の軸である、1)福祉国家と政党間対立の変化を結合しうる理論枠組みの形成、2)マニフェストなどの政党文書に基づいた分析、3)実際の政策に関する分析に基づく政党間対立関係の変化の検討に関し、特に本年度に関しては1)と3)の観点からの研究を、特に家族政策の観点から整理し、その成果を発表することができた。さらに、単にイギリス一国にとどまらず、ドイツやフランスといった国々と比較し、そのことにより選挙制度といった新たな要素を議論に導入するとともに、イギリスの特徴をより明確化できたという点で、研究を進捗させることができた。また2)に関しては、前年度までのデータ収集に基づき、今年度はテキスト分析などの方法的検討に進むことができた。 ただし福祉国家の再編の中でも、主に家族政策を材料とした検討にとどまっている点は、本研究全体の課題からすればまだ道半ばである。また、今年度は依然として海外調査が行えなかったため、文書資料やインタビューの進捗は十分とはいえない。 以上より、「おおむね順調」に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の課題に対し、主に家族政策の観点からアプローチすることには成功しているものの、今後はより広く射程を取り、社会的投資政策と呼ばれる政策分野の中で、家族政策と並び重要視されることの多い教育政策へと対象を広げる。そのため、現地調査やオンライン調査を含めた形で、資料収集を進めていくことが必要になるだろう。 さらにこれまでの研究では、イギリス労働党の分析が中心であった。保守党政権については、検討は進めてはいるもののやや手薄であるとともに、この研究期間中に保守党内での首相交代も相次いだことから、それらの変化も踏まえて、保守党についての検討をさらに進める。 方法的な面では、これまでの研究でデータ収集および、テキスト分析を中心とした方法の検討も進めてきた。今後は、これらのデータと分析手法を組み合わせながら、マニフェストや政策文書に関し、いかなる分析が可能かという点に進むことが、今後の方針となる。その際、議会でのスピーチ・発言など、新たな資料の可能性についても探求する予定である。
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