研究課題/領域番号 |
20K01506
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
柴田 茂紀 大分大学, 経済学部, 准教授 (60411063)
|
研究分担者 |
山川 俊和 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (70572395)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 国際貿易体制 / ルール形成 / 日本の経験 / 埋め込まれた自由主義 / GATT/WTO / 国際経済秩序 / レジーム / 世界経済 / 貿易構造 / 国際政治経済学 / 日本の「経済大国」化 |
研究開始時の研究の概要 |
「経済大国」化した日本が、いかにして国際貿易体制のなかで影響力を高め、その影響力を行使したのか具体例を検証しながら、「日本の経験」として体系化を試みる。本研究成果を通じて、戦後の「日本の経験」に関する研究や、国際貿易体制に関する研究に新たな視点を加えることを目指す。 貿易面の影響力は、各国間の政治経済関係が反映されるため、明確な数値化が困難であり、これまで検証が不十分であった。そこで本研究では、貿易・経済統計と一次資料の分析を組み合わす分析手法を導入し、数値化しにくい貿易面の影響力を検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究の核心をなす学術的「問い」は、「経済大国」化した日本が、国際貿易体制のなかでいかに影響力を高め、その影響力を行使したのか、というものである。経済発展を実現しても、国際影響力は自動的に強化されない。そこで、日本は国際貿易体制の中で影響力を強めることができたのか、できたとしたらその要因はどのようなものなのか、どのように影響力を行使してきたのかなど、学術的な疑問に取り組もうとするのが本研究である。 研究開始後3年目にあたる本年度は、先行研究調査や有用な分析枠組の整理を進め、昨年度に引き続き、成果の一部を論文という形で発表した(2022年度)。それは、学会誌『国際政治』に掲載されたものである。日本のOECD加盟を事例にして、日本の国際的地位の変化についてまとめた。OECDは、経済成長の促進、低開発国援助、世界貿易の拡大を主要な目的としており、「先進国クラブ」と称されることもあるが、日本のOECD加盟は、冷戦下の日本が「自由陣営の一員」としての地位を確立し、各国との関係を強める上で政治経済的な重要性があった。この点を指摘する先行研究は存在するが、本研究が注目したのは、日本の国際的地位の変化をもたらした国際情勢であり、その点で先行研究の補足を試みた。 日本に期待されていた役割や日本の地位は、冷戦・国際貿易・国際金融というように、分野によって異なるため、整理が必要になる。西側諸国は、冷戦や国際金融という側面では日本との協調を進めた一方で、国際貿易の側面では対日差別措置を導入・継続するなど協調関係の構築に消極的であり、それが日本のOECD加盟を妨げていた。このような分野によって異なる国際関係の背景や論理について検証したのが本年度である。 なお、研究分担者は、近年の貿易のルール形成において注目度の高い環境問題について、研究を進展させている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で、一次資料調査(調査出張)が進まなかった一方で、資料調査の代わりに先行研究や分析枠組の整理を進め、さらにその成果の一部を論文として発表することができた。当初予定と比べて資料調査とその活用が進んでいないため、「やや遅れている」と判断した。 ただし、研究グループ内でのオンライン会議を重ね、収集した各種資料や研究成果の共有は進んだ。本研究はグループで進めているため、研究成果の共有は不可欠な作業である。また、共同研究を発表する用意を進めている。 それぞれの成果を接合・融合し、体系化しながら本研究課題を進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの成果である先行研究や分析枠組の整理を土台として、今後は以下のように研究を進めていく。 ①一次資料の閲覧・入手に基づく分析、統計に基づく分析を組み合せる。国内(外務省外交史料館、国立国会図書館)と国外(アメリカのNational Archives及びIMF Archives、英国のNational Archives)で調査を考えている。 ②入手資料を活用する。上記①を通じて入手した資料を利用しながら、日本がルール追随国から形成国に変化した経緯や、ルール形成国としての日本の影響力を事例と統計から明らかにする。 ③研究成果の検証・調整・統合を進め、成果発表の機会を増やす。そのためにもオンライン(ZOOMなど)を通じて打ち合わせを繰り返し、それぞれの研究成果の検証・接合を図る。
|