研究課題/領域番号 |
20K01508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
武田 悠 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (60638328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本外交史 / 原子力平和利用 / 核不拡散 / プルトニウム / プルトニウムの国際管理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究のテーマは、1970年代末から議論されたプルトニウムの国際管理構想への日本の関与である。核弾頭の材料ともなるプルトニウムについては、実現してはいないものの、国際管理し軍事転用を防止する構想が繰り返し議論されてきた。 一連の構想の中でも最も実現に近づいたのが、国際プルトニウム貯蔵(IPS:International Plutonium Storage)構想である。本研究では、日本に加えこの構想に深く関与した米英の公文書を用いて、構想失敗の経緯と日本の関与を明らかにする。それは国際政治問題に関わってこなかったとされる冷戦期日本外交のイメージを修正することにもつながると期待される。
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研究成果の概要 |
本研究は、原子力平和利用と核不拡散を両立させるべく議論された原子力国際管理構想の中でも最も実現に近づいた、1978年から82年にかけての国際プルトニウム貯蔵(IPS:International Plutonium Storage)構想に日本が果たした役割を検討した。日米英の史料を検討した結果、日本が当初構想の実現に向けてIAEAでの多国間協議でも米英など先進国との協議でも妥協案の作成につとめたものの、米国が日欧に対し二国間協定を通じてプルトニウム平和利用を認める方針に転じる中、IPSへの熱意を失い、途中から不満を表明していた途上国への対応にも消極的となった経緯を明らかにできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、国際政治問題への関与が限定的とされてきた冷戦期日本外交に、技術的な側面からとはいえ、核不拡散と原子力平和利用の両立という重要なテーマに関わった事例があったことを明らかにした。これには戦後日本外交への理解をより精緻なものにするという、学術的な意義があると言える。また社会的にも、戦後日本外交が核不拡散に少なからず関与してきたものの、途上国の核不拡散規制に対する不満には正面から向き合わず、それが現在プルトニウムの管理をめぐって窮地に立たされている一因となっていることを明らかにした。それは日本外交の貢献と限界の双方について、より正確な理解を社会に提供する意義があると言える。
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