研究課題/領域番号 |
20K01514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
黄 斌 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (50755775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アジア主義 / ナショナリズム / リージョナリズム / 連続性 / 断続性 / 一帯一路 / 和解 / 中国 / 歴史の連続性と断続性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、中国政府は様々な国際問題についてアジアの連帯を訴え、さらに従来のアジア主義から一歩進み、「一帯一路」の構想を打ち出した。この戦略構想について、歴史の「連続性」と「断続性」の視点から掘り下げる研究はまだ少ない。本研究では、アジア主義をめぐる日中間の相違や相互の影響を念頭に置きつつ、中国知識人たちが「アジア主義」をどのように語っていたか、彼らの「アジア主義」は今日の世界情勢にどのような影響を残しているか、これからの新たな世界秩序への模索にどのような示唆を与えるかを考察し、その今後の在り方を探る。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本のアジア主義との比較や相互影響を勘案しつつ、近代中国知識人たちが「アジア主義」をどのように語っていたか、彼らの「アジア主義」は今日にどのように投影しているか、今後の新たな世界秩序への模索にどのような示唆を与えるかを考察するものである。 令和5年には、昨年度に引き続き、資料の収集・整理・解読の作業を中心に研究を進めた。特に、中国の伝統文化を受け継ぎながら、日本を経由して試行錯誤で西洋文明を中国に取り入れた梁啓超や李大釗らのアジア主義への認識を再考し、近代文明への転換における伝統文化の崩壊及び再構築を背景に、中国的「アジア主義」に対する伝統文化の影響を考察した。また、第一次世界大戦の戦後処理問題をめぐり日中間の対立が先鋭化するなか、中国の知識人たちが日本のアジア主義を批判し始め、独自のアジア主義を展開し、アジア主義をめぐる日中両国の知識人のミスマッチが広がっていたという過程を考察した。 そうした考察の成果の一部分として、11月に東北大学大学院国際文化研究科が主催した国際シンポジウム「中国ナショナリズムと近代日本の知識人たちⅠ 李大釗と吉野作造」に、「ナショナリズムをめぐる李大釗と日本の知識人との交流」を題に発表し、そして孫文研究会が主催した「梁啓超生誕150 周年記念学術シンポジウム梁啓超と近代知の諸相」に「梁啓超の学問とリベラル・アーツ」を題に発表した。上記した二本の論文を近いうちに関連する論文集及び学術誌に寄稿して刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の研究調査について、日本国内での資料収集・整理作業は概ねスムーズに行われてきた。そうした考察の成果の一部分として、11月に東北大学大学院国際文化研究科が主催した国際シンポジウム「中国ナショナリズムと近代日本の知識人たちⅠ 李大釗と吉野作造」に、「ナショナリズムをめぐる李大釗と日本の知識人との交流」を題に発表し、そして孫文研究会が主催した「梁啓超生誕150 周年記念学術シンポジウム梁啓超と近代知の諸相」に「梁啓超の学問とリベラル・アーツ」を題に発表した。上記した二本の論文を近いうちに関連する論文集及び学術誌に刊行する予定である。 一方、海外における資料収集はやや遅れている。デジタル・データベースの活用やオンライン会議などの方法により研究活動を進めてきたが、中国におけるインタビューなどの調査活動は相手側の都合の原因もありスムーズに行うことができず、予定された研究計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は引き続き資料の収集・整理を進め、アジア主義をめぐる日中両国の知識人のミスマッチが広がっていた過程を考察し、「ナショナル」および「イデオロギー」的なアジア主義の限界を明らかにする。それと同時に、中国的「アジア主義」に対する伝統文化の影響を解明し、その行方を探る。 夏休みと春休みの連休を生かし、昨年度難航した中国でのインタビューや資料調査、海外でのほかの研究交流活動を早急に進める予定である。それまでには、各種のデジタル・データベースを活用しながら、日本の資料を中心に研究を進める。そして、日本・中国の資料の補足として、英文資料の調査にも取り組み、当時の欧米諸国の政府関係者や、知識人たちが中国のアジア主義についてどのように認識していたかを考察する。 また、これまでの資料調査の成果を踏まえ、中国知識人のアジア主義の特徴と限界、並びに現在の一帯一路の戦略構想との関係について考察し、論文を執筆する予定である。
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