研究課題/領域番号 |
20K01523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 真千子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (40315859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 国際的信教の自由法 / 国際的信教の自由委員会 / IRFA / USCIRF / グローバル・マグニツキー法 / 国際的宗教自由大使 / サム・ブラウンバック / NGO / アメリカ / 国際的信教の自由 / 国際的信教自由委員会 / 国際的信教の自由サミット / 宗教迫害 / 人権団体 / 国際宗教委員会 / 人権 / トランプ政権 / 宗教的自由 / 信仰の自由 |
研究開始時の研究の概要 |
冷戦後、アメリカは合衆国憲法修正第1条に規定されている宗教的自由の概念を反映させた外交政策を採用し、安全保障の脅威に立ち向かう姿勢を示してきた。本研究は、外交政策に宗教的視点や宗教的対話を取り入れた背景や国際的信教の自由法の成立過程と影響について明らかにし、世界における国際的信教の自由の問題に対するアメリカの認識と問題への取り組みについて検討する。
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研究実績の概要 |
世界各地の宗教迫害や人権状況の悪化は地域の不安定化を促し、安全保障に悪影響を及ぼす脅威となる。アメリカでは国内の社会的・政治的な論争へと波及する問題にもなり得る。宗教的自由は建国以来の信条であり、世界人権宣言が謳う普遍的な権利でもあるからこそ、アメリカにとって国内外での促進は自明である。このような認識が、アメリカの宗教的自由を支える憲法修正第一条が規定する政教分離を外交政策に反映させてきた。したがって、アメリカ外交を考察する上で国際的宗教の自由の政策展開に注目することが不可欠と位置付け、本研究は国際的信教の自由法(IRFA)の実際の政策展開を研究対象とし、その実態解明と問題点や外交的意義の考察に取り組んでいる。 2023年度は、本研究にとって以下の点で大変重要な年となった。第一に、国際的信教の自由法が成立してから25周年、宗教的自由回復法の発効から30周年を迎えたタイミングに恵まれた。それらの政策形成に携わった当事者や専門家らが様々な視点から両政策の展開を歴史的に振り返って議論し、評価するといった興味深い会合がアメリカでいくつか開催された。筆者はそれらの資料を重要な分析材料として入手し、検証を進めることができている。第二に、2023年は世界各地で宗教的自由が悪化する傾向が続き、国際的宗教的自由の問題に対するアメリカの脅威認識が、とりわけ宗教系人権団体と連邦議員の間で高まることに作用したと考える。国務省が独立機関の国際的宗教自由委員会(USCIRF)の提言に従ってベトナムを特別監視国に指定した一方で、特別憂慮国として提言されたアフガニスタン、インド、ナイジェリア、特別監視国として提言されたキルギルを各指定から外した点、旧統一教会に解散命令請求を出した日本を宗教迫害と非難する書簡が国際的信教の自由ラウンドテーブルで検討された点などから、国際的信教自由政策への示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一番の理由は航空運賃とホテル代金の価格高騰である。実際の旅費価格が計画段階で想定していた金額を大きく上回っていたため、当初予定していた海外調査は断念せざるを得なかった。仮に調査地訪問を敢行したとしても旅費を予算内に収めるには滞在日数を短縮する必要があり、目的を達成するための最低日数を確保できない状況が続いた。また、昨年度は本務校の業務が多忙化したことに加え、学会運営の対応も増したことも重なり進捗状況に影響が及ぶ結果となった。 他方、調査対象の組織やネットワークが会合やイベントをオンラインで開催したケースもあり、筆者もそれらに参加でき、当初の計画通りにはできなかったが、宗教系NGOや活動家の活動や問題意識をフォローし、分析を進めた。成果の一部も学会や専門家会合で発表したり、地域社会への還元として高校や大学の講演を引き受けて公表しており、「大幅な遅れ」には至っていないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2024年度が研究最終年度となる。そのため、不足している調査と分析の作業を並行して進め、これまでの研究成果と合わせて総括し、最終成果としてまとめる。研究から導いた論点や結論について客観的に再考することを重視し、修正すべき点や微調整が必要な点は改善できるよう、他の研究者らとの意見交換も有益に取り入れていく。研究の成果は国内外の学会や会合で発表するとともに、教育現場や地域社会の人々にも広く提供することで研究成果の社会還元に貢献していきたい。
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