研究課題/領域番号 |
20K01525
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
|
研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
山根 健至 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (10522188)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | フィリピン / ミンダナオ紛争 / 平和構築 / セキュリティ・ガバナンス / 非国家主体 / フィリピン国軍 / ミンダナオ / セキュリティ・ガヴァナンス / 治安部門改革 / 安全保障 / ガヴァナンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、セキュリティ・ガヴァナンスが平和構築との関連でどのように変容するのかをフィリピンの紛争を事例に明らかにすることを目的とする。フィリピンの紛争地域では、国家の統治が十分に及ばない地域で治安機構が能力不足を補うため非国家主体と協働するセキュリティ・ガヴァナンスが形成されてきた。他方で、現在は平和構築の局面を迎え、非国家主体の武装解除や国家の治安機構の再編といった国家の能力を向上させる取組みが進められている。本研究では、国家の能力向上に関わる平和構築活動の進展状況および進展に影響を与える要因を把握・検討し、それらがセキュリティ・ガヴァナンスをどのように変容させるのかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
紛争地域の一部を実効支配してきた非国家主体のMILFの武装解除や国家の治安機構の再編は、国家(中央政府や関連機関)の能力の相対的向上をもたらすため、セキュリティ・ガヴァナンスの変容と帰趨に影響する要因を内包することが仮定される。こうした状況を踏まえて本研究では、国家の能力向上に関わる平和構築活動の進展状況および進展に影響を与える要因を把握・検討し、それらがセキュリティ・ガヴァナンスをどのように変容させるのかを明らかにする。 当該紛争の平和構築は、新たな自治地域の設立に関する政治的移行と正常化という2つのプロセスを中心とする。これらのうちセキュリティ・ガヴァナンスに影響する正常化プロセスは、MILF戦闘員の動員・武装解除、6つのMILFの拠点を平和的および生産的な経済区域に転換すること、私兵団の解体、MILF構成員に対する恩赦の供与、バンサモロ領域からのフィリピン国軍の配置転換、などを含んでいる。当該年度は正常化プロセスの進展状況を「decommissioning」と言われるMILF戦闘員の動員・武装解除を中心に情報収集・分析した。 正常化プロセスの一環として、紛争後の治安維持を担う組織として「合同平和安全チーム」が設立されることになっており、政府は2019年に同チーム要員の選抜と訓練を開始したが、コロナ禍の影響もありこのプロセスは遅れている。また、自治地域やその周辺には、私兵団を擁する政治家が存在し、治安の不安定要素となってきたため、MILF戦闘員の武装解除と並行して私兵団の解体が課題となっている。この課題に対応するため、私兵団解体国家タスクフォースが設置され、複数の私兵団の解体が進んでいる。 以上のような当該年度における情報収集・分析により得た知見を論文としてまとめアジア・アフリカ研究所発行の『アジア・アフリカ研究』に投稿し、同誌の第63巻第1号に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題ではフィリピンでの現地調査が研究計画の主要部分を成すが、コロナ禍の影響により現地調査が実施できておらず、進捗はやや遅れている。一方、日本国内での資料収集やインターネットを活用した使用収集などによる調査・研究を遂行し、ある程度進捗させることはできた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の推進にはフィリピンでの資料収集と聞き取り調査が不可欠であるため、コロナ禍の状況がどう推移するのかにより、研究の推進方策が変わってくる。 現時点ではフィリピンへの渡航が可能となっているため、渡航を計画・実施し、計画に沿って研究を遂行する。加えて、日本国内で入手可能な資料による分析を進めると同時に、オンラインでの聞き取り調査も実施し、研究を推進する。
|