研究課題/領域番号 |
20K01540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
大澤 武司 福岡大学, 人文学部, 教授 (70508978)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 中華人民共和国 / 戦犯処理 / 国民党戦犯 / 統一戦線 / 台湾統一工作 / 寛大処理方針 / 両岸関係 / 寛大方針 / 台湾海峡 / 中国国民党 / 改造教育 / 中国政治 / 中台関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国の内政・外交において重要な意味を持つ「統一戦線」戦略という中華人民共和国・中国共産党の思考・行動様式に関する実証的事例研究を行う。具体的には、1950年代半ばから70年代半ばまで展開された中国による「国民党」戦犯処理を事例としつつ、①台湾統一工作における「統一戦線」戦略の文脈において、中国が「国民党」戦犯をいかなる理念と戦略に基づき処理したのか、②かかる「国民党」戦犯の処理過程はいかなる史的展開を遂げたのか、③毛沢東の「国民党」戦犯処理の理念と実践(毛沢東思想)は、今日の習近平政権の対台湾「統一戦線」工作思想にいかなる影響を与えているのか、という学術的「問い」に挑むものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、中国の内政・外交において極めて重要な位置を占める「統一戦線」戦略(統戦外交)という中華人民共和国(以下、中国)ならびに中国共産党の思考・行動様式に関する実証的な事例研究の前提となる基礎研究を進めるものである。 令和5(2023)年度は5月以降、新型コロナも第5類へと移行したため、国内・国外への渡航・移動制限なども大幅に緩和され、学会参加や研究交流を中心として、国内での研究活動はコロナ禍以前とほぼ同様に行うことができた。だが、主たる研究対象地域である中華人民共和国(以下、中国)への調査については、現地の国情もあり、引き続き再開でないままとなっている。そのため、専門書店を通じた中国・台湾からの史資料の購入ならびにCNKI(中国語文献検索データベース)などを有効に活用した新発表の中国国内の学位論文や資料・論文の調査・収集を行い、同時に基礎研究として関係論文・文献の翻訳ならびに精読、整理、分析作業を進めている。 なお、これと同時に、令和5(2023)年度も前年度と同様に、(1)中国共産党(特に比較・対照、ならびに今日的意義の考察を行う基礎として、習近平政権時代)による歴史問題(戦犯処理問題などを含む)に関する諸政策の分析、ならびに(2)中国共産党(中国人民解放軍)の戦犯俘虜改造政策に関する考察をさらに深めるための各軍区の「集訓団」施設の情報収集・分析、(3)被処理対象となった国民党・政府・軍関係者自身による戦犯処理、すなわち中華民国の対日戦犯処理に関する資料調査・収集なども、あわせて進めることで、諸々の厳しい制約がある状況のなかでも、所定の研究目的を達成するため、研究を進めてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5(2023)年度は、新型コロナによる渡航・移動制限が緩和され、国内での史資料調査や研究交流は実施可能となり、本研究で得た研究成果の積極的な情報発信のため、日中両国の著名な国際政治研究者や歴史研究者が参集する国際ワークショップ(沖縄での対面開催)などに参加するなど、研究の進展に資する機会を得ることができた。ただし、前述の通り、国外、特に当初、研究計画に含めていた中華人民共和国での調査については、引き続き習近平政権下における外国人による中国国内の資料調査・収集に対する厳しい制限が続いているため、現時点でも実現できてない。 そのため、国内における研究交流を進めるのと同時に、令和5(2023)年度、特に注力したのは、1959年の中国建国10周年を機に実施された中国国民党戦犯の特赦について、その政策決定過程に関する史資料を読み込むことで特赦決定の最も重要な要因となった点について分析を重ねたことである。 前述の「5.研究実績の概要」で挙げた(1)から(3)の項目、ならびに本研究課題の中核となる中国の国民党戦犯処理の政策決定過程に関する研究成果については、研究実施期間最終年度となる令和6(2024)年度に学会報告ならびに論稿、さらには資料集として発表・刊行することを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は当初の計画では2022(令和4)年度に完了予定であったが、新型コロナの影響により、国内・海外渡航が大幅に制限されたことから、令和5(2023)年度に期間延長、さらに令和6(2024)年度までの期間再延長を申請し、承認を得ている。 最終年度は研究成果の取りまとめを中心に作業を進めていく予定である。
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