研究課題/領域番号 |
20K01542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岸本 信 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (00610560)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 交渉 / 特許技術 / ライセンス / ライセンス料 / 協力ゲーム理論 / 内生的成長理論 / ライセンス料交渉 / 2部料金 / 特許技術の先行保護 / コア / シャープレイ値 / 経済成長率 / 社会厚生 / 二者間交渉 / 交渉間の相互依存性 / 交渉プロセス / ゲーム理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、相互依存する複数の二者間交渉を、ゲーム理論を用いて分析する理論研究である。特許技術のライセンス料交渉など、1人の売り手が複数の買い手と別々に二者間交渉を行い、各二者間交渉が他の二者間交渉に影響を与える状況が存在する。本研究では、このような相互依存する複数の二者間交渉において、交渉間の相互依存性を考慮した交渉プロセスのモデルを構築し、そのモデルをゲーム理論を用いて分析することで、各交渉の帰結を考察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、査読付き国際学術誌に昨年度投稿し、改訂依頼のあった「2部料金(一括払い料金と従量料金の併用)の交渉を通じた特許技術のラインセンス」を分析した論文について、レフィリーらのコメントに応じて改訂し、再投稿した。その結果、Journal of Public Economic Theory誌への掲載が決まった。また、上記の論文で提案した協力ゲーム理論の解概念(拒否耐性を持つコア)を、非協力ゲームとしてモデル化した交渉プロセスの均衡で実現可能か否かについても研究した。その結果、結託耐性ナッシュ均衡を応用することで拒否耐性を持つコアを実現する交渉プロセスが存在することが明らかになった。 本研究課題の研究期間全体を通じて、特許技術のライセンス料交渉をモデル分析した本研究課題の基礎となる研究について、主に次の研究成果を得た。 (1) 特許技術のライセンス料として2部料金が交渉を通じて決定される状況において、潜在的ライセンシー(企業)のみが製品市場で競争する場合、先行研究とは異なり、特許技術が一部の企業にのみライセンスされたり、ライセンス料が従量料金のみで決まったりすることが明らかになった。 (2) 研究開発競争が行われる中で、研究開発によって創出された特許技術に関するライセンス料交渉が行われる状況を、内生的成長理論と協力ゲーム理論を組み合わせてモデル化し、分析した。政府がライセンス料交渉に介入しない場合と比較して介入する場合には、経済成長率が増加し、社会厚生も増加する可能性があることが明らかになった。 (3) 特許技術の先行保護の範囲が累積的な技術革新に与える影響を分析した研究において、ライセンス料交渉に政府が介入しない場合と介入する場合とを比較した。その結果、どちらの場合も先行保護の範囲が拡大するにつれて経済成長率が上昇するが、介入しない場合のほうが低成長となることが明らかになった。
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