研究課題/領域番号 |
20K01554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 中央大学 (2021-2022) 創価大学 (2020) |
研究代表者 |
大坪 弘教 中央大学, 国際経営学部, 准教授 (10609027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 交通渋滞 / ゲーム理論 / 実験経済学 / 限定合理性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、交通の流れを妨げるボトルネック(例:橋、トンネル、料金所、道路工事現場)を持つ単純な交通ネットワークにおける出発時刻選択問題に焦点を当てる。複数の意思決定主体の相互依存関係を分析する道具であるゲーム理論を用いた分析を行い、理論予測の検証のために実験経済学に基づく方法で被験者実験を実施する。実験データの分析には人間の限定合理性を考慮したモデルを使って実験結果の説明を試みる。実際の人間の行動と渋滞発生の関係について理解を深めることで、より効果的な渋滞対策を講じるための手がかりが得られる。
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研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウィルス感染症の状況に注視しつつ、キャンパス内で実験を実施するための準備を以下のように進めた。(1)実験参加者プールを一から構築する必要があるため、実験参加者の登録・管理のためのソフトウェアを検討・選定した。(2)実験参加者プールに登録するための手順書と、実験参加者が登録する前に確認する実験参加ルールを策定した。(3)実験で使用する実験指示書や参加同意書を作成した。(4)本学の「人を対象とする研究倫理審査委員会」へ、実験実施のための審査を申請した。なお、これらの準備に予想以上に時間がかかり、実験実施は2023年度に持ち越しとなった。
その他、以下のような活動を行った。昨年度、対称混合戦略ナッシュ均衡の下での出発時刻分布に加え、プレイヤーの完全合理性の仮定を緩めた質的応答均衡(Quantal Response Equilibrium)の下での出発時刻分布を導出したが、実験データからこのモデルのパラメーターを推定するためのプログラムを作成した。特定のパラメーターの値のもとで生成されたシュミレーションデータを使ったテストでは、推定がうまくできていることが確認できた。
さらに、昨年度導出した質的応答均衡の拡張を検討した。質的応答均衡の下での出発時刻分布は、全ての人が同質であることを想定している。しかし、我々の普段の経験や過去の実験からも明らかなように人々はむしろ異質であり、行動パターンも多種多様である。プレイヤーの個体差のばらつきをうまく捉えた均衡概念が必要なのかもしれないと考え、質的応答均衡にプレイヤーの異質性を組み込んだ均衡を検討してみた。しかし本研究のゲームは戦略数(出発時間の数)が多く、拡張がうまくいかなかった。今後は質的応答均衡のような均衡概念においてではなく、学習理論において異質性を組み込む拡張を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験中のパフォーマンスに応じた謝金の支払い(傾斜報酬)について、各部署との調整にかなりの時間を要した。また「人を対象とする研究倫理審査委員会」への審査において、謝金の支払い方法についていくつかの懸念が示されたことから、実験実施の許可を得るのに予想以上に時間がかかってしまった。結果、年度内に実験を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の状況に注視しつつ、実験参加者の安全確保を最優先にした形で実験を実施する。実験結果を早急にまとめ、可能であれば2023年度後半に開催される国際学会で発表する。
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