研究課題/領域番号 |
20K01555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
若山 琢磨 龍谷大学, 経済学部, 教授 (80448654)
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研究分担者 |
星野 裕二 (藤中裕二) 関西大学, 経済学部, 准教授 (20552277)
舛田 武仁 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (80725060)
三上 亮 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (40961636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マーケットデザイン / メカニズムデザイン / ゲーム理論 / 経済理論 / メカニズム・デザイン / マーケット・デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、腎移植不足を解消する方法として考案された「ドナー交換メカニズム」について、理論と実験の両面から望ましいメカニズムを明らかにし、既存制度の改善に資する知見を得ることを目指す。具体的には、理論分析によって、偽装結婚・養子縁組などの共謀行為によるドナーの融通を防ぎつつ、より多くの腎移植を実現しうるドナー交換メカニズムを明らかにする。また、ドナー交換メカニズムに関する実験研究が乏しい現状にあるため、これまで提案されてきたドナー交換メカニズムを、経済実験によって比較・検討する。
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研究実績の概要 |
【理論分析】2023年度は以下の3つのプロジェクトを中心に推進した。 (1)同時移植数に制限がある状況下で、偽装結婚・養子縁組などによるドナーの融通を未然に防ぐドナー交換メカニズム:前年度に公表していたワーキング・ペーパーを改訂した。また、新たな分析として、移植希望者が「自分の年齢と近いドナーであるほど好ましい」と考えている状況を検討し、移植希望者の持ち得る選好に制約がない場合と同様の不可能性定理を得た。 (2)事後的なドナー交換を抑止するドナー交換メカニズム:前年度までに得られた研究成果を土台として、より綿密な分析や追加的な分析を行った。 (3)直接交換と間接交換の混合モデル:上記のプロジェクト(1)と(2)は、直接交換(患者間のドナー交換)だけを対象としている。直接交換だけでなく、間接交換(自分のドナー提供と引き換えに献腎移植の優先順位を上げてもらうオプション)も取り入れた枠組みでの研究にも取り組んだ。この枠組みでは、既に「効率性と耐戦略性を満たす拡張版TTCメカニズムが、共謀行為によるドナーの融通も抑止する」ことを証明していた。研究期間中は継続してその証明を改良することを試みていたが、依然として証明は煩雑なままであった。しかし、上記のプロジェクト(2)で開発した技法を利用すれば、かなり簡明に証明できることがわかった。
【実験研究】前年度に引き続き実験のデータ分析を行った。実験結果は、効率性については概ね理論予測通りだった反面、真の選好表明を行った被験者の割合については、耐戦略性を備えた拡張版TCCメカニズムよりもそうでないものの方が僅かながら上回っていた。このような理論予測に反した実験結果が観察された原因を追究すべく、各メカニズムにおいて、被験者がどのような虚偽申告を行ったのかを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理論分析については、「研究実績の概要」で記載したプロジェクト(1)は順調に進んだ一方で、プロジェクト(2)と(3)は2023年度中に論文を完成させることができなかった。また、実験研究については、データ分析は進んだものの、まだ分析が完了していないため、論文の執筆作業が当初の計画よりも大きく遅延している。このように、理論分析・実験研究ともに研究は進展したものの、研究の進捗は当初の想定から遅れている状況にある。そのため、現在までの進捗状況を「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
【理論分析】「研究実績の概要」で記載したプロジェクト(1)については、2023年度に得た結果を踏まえて公表しているワーキングペーパーを改訂した後、2024年度中に国際的学術雑誌に投稿する予定である。また、プロジェクト(2)および(3)については、2023年度中に論文は完成しなかったものの、投稿間近の段階にある。そのため、2024年度中に、これまでの研究成果を取りまとめた論文をワーキング・ペーパーとして公表し、国際的学術雑誌に投稿する計画である。
【実験研究】2024年度中にデータ分析を完了させた後、研究成果を論文に取りまとめ、国際的学術雑誌に投稿することを目指す。
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