研究課題/領域番号 |
20K01558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
熊野 太郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00700494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | マーケットデザイン / マッチング理論 / Matching theory / Market design / Stability / Efficiency / Strategy-proofness / Pareto efficiency / 相互依存性 (interdependency) / 補完性 / 外部性 / 安定性 / 非分割財の配分 / パレート効率性 |
研究開始時の研究の概要 |
金銭の介在しない非分割財の配分問題は、現実に広く存在する経済学の伝統的な問題である。例えば、幼児と保育所のマッチング、労働者と仕事のマッチングといった問題である。既存研究では、「財」は物理的に存在すると暗に仮定され分析がなされてきた。本研究では「財」の認識を一般化することで、これまで異なる分野とされてきた研究を統合し、さらに現実にある複雑な状況をも描写する。その上で、望ましい性質をもつ制度を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、一般化された非分割財の市場制度設計である。本年度は、3本の論文について進展があり、またフィールド調査も実施することができた。 ・昨年度から American Economic Review に投稿中の共同論文(慶應義塾大学 栗野盛光教授)"Quota Adjustment Process" が再投稿要請を受け、再投稿のための準備を行った。特に、理論部分への要請は既に解決できた。残る要請はシミュレーションに関するものであるが、現在プログラムを改良中である。 ・共同論文(関西学院大学 丸谷恭平講師、金沢大学 高梨誠之講師)"Fertility decline and school choice" を完成させた。本論文では、学校選択問題における市場の変化に応じた政策の効果を分析する。例えば全体的な学生の減少によって学校の定員を減らす場合に、学校そのものをなくすべきか、既存学校は維持したまま定員数を減少させるか、といった場合に、前者の方が理論的に望ましい制度が存在することを明らかにした。本論文は投稿準備中である。 ・共同論文(Rochester大学 石田航氏、京都大学 岩瀬祐介講師)"Efficient and(or) fair allocations for market-wise admissible sets" を完成させた。本論文では、ありとあらゆるマッチングへの制約をモデル化し、そのもとで効率性または公平性を達成するマッチングの存在条件を明らかにした。本論文は投稿準備中である。 ・非分割財の現実の市場を分析するためにフィールド調査を行った。慶應義塾大学の栗野盛光先生とともに岡山県津山市の空き家、空き店舗に関して、津山市役所の方や民間の方からヒアリングを行い、現状調査も行った。現在はその結果をもとに市場制度の分析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論研究に関しては当初の予定以上に進展し、また予定にはなかった実地調査も実施できているものの、当初の研究計画にある経済実験が未実施のままである。コロナ禍から随分とたつが、当初予定から時間がずれたため、プログラム作成者の確保や実験実施のための場所(人数集め)の調整がうまくいっていない。これらについては次年度に解決できる見込みであり、次年度に経済実験を実施し、当初の研究計画を完遂できるものと想定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策は、第一に、上述した3本の論文を投稿、再投稿する、第二にフィールド調査の結果も用いて経済実験を実施することである。 3本の論文の投稿、再投稿に関して。"Quota Adjustment Process" についてはシミュレーションの追加により最投稿準備が整う。それ以外の2本についてはほぼ投稿準備が整っているため、国際的に評価の高い雑誌への投稿を行う。 経済実験に関しては、実施計画は完成しているので、プログラムと場所の準備が整い次第実施する。もし次年度においてもなんらかの理由で当初予定している規模の実験を実施できない場合は、規模を縮小し実験を実施するか、シミュレーションにより代替し研究計画を完遂したいと考えている。
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