研究課題/領域番号 |
20K01563
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
渡辺 隆裕 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (70220895)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ゲーム理論 / 調整ゲーム(coordination game) / タイミングゲーム / 均衡選択 / グローバルゲーム / ナッシュ均衡 / 調整ゲーム / 社会学習 / 共有知識 / コーディネーションゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
ゲーム理論において,相手と行動を起こすタイミングが同じになると利得が高くなるゲームは調整型タイミングゲームと呼ばれ,SNSや通信機器などの「ネットワーク外部性」がある財市場への企業の参入タイミングの問題や,企業間で同時に投資すると利得が高くなる「正のスピルオーバーがある投資」の投資タイミングの問題,などに応用される. 本研究では,調整型タイミングゲームに純粋戦略均衡(確率を用いない均衡)が存在する条件を調べるとともに,その均衡が複数存在するときにどれが解にふさわしいかという「均衡選択」の理論を構築し,上記のような経済モデルへ適用する.
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研究実績の概要 |
本研究は、相手と行動するタイミングを選ぶ調整型タイミングゲームに対する研究である。2023年度は、昨年までの研究成果に基づきグローバルゲームによる均衡選択によるアプローチで研究を続けた。しかし、その結果として、Michal Szkup and Isabel Trevino (2015)によって明らかにされたのと同様の理由によって、多人数で多段階のグローバルゲームにおいては、1段階目の他者の行動を観察することで、2段階目にはファンダメンタルに関する正確な情報を得ることができるため不完備情報ゲームが成立せず、問題が解決しないことが分かった。
しかし、研究過程においてグローバルゲームについてのいくつかの有用な性質を得た。具体的には(1)2人グローバルゲームについて、従来の仮定を強くすることにより(対称なプレイヤーであり、2つの行動を選ぶときの期待利得の差がシグナルについて狭義単調増加)、複雑な導出過程を単純にすることができた。(2)一般の2人非対称グローバルゲームにおいても、従来の複雑な導出過程を、いくつかの部分問題に切り分け、仮定をおくことで、見通し良く結果を得ることに成功した。 (3)ノイズの確率分布にある自然な仮定をおくと、(2)の結果が得られることが明らかになった。つまりノイズの確率分布にある仮定をおくことで、見通し良く結果を得ることができる。(4)ゲームを決定づける不確実性の要因(ファンダメンタルズ)とノイズの集合を離散化し、グローバルゲームによって均衡を選択する枠組を作ることができた。これにより、情報学やアルゴリズムゲーム理論など、多くの分野との連携が可能になると考えられる。
コロナ禍で、当初予定していたいくつかの学会や研究集会が中止になったため、これらの成果は発表にまで至っていない、2023年度はこれらの成果を発表していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウィルスの感染拡大のため2021年度までに多くの学会や研究会が中止となったため当初予定していた学会や研究会の参加、他の研究者との共同研究や情報交換の機会を失い、研究は当初の計画通りに進まなかった。また、本研究の中心課題である「2人タイミングゲームにおける均衡選択問題」について、グローバルゲームによる分析を目指していたが、その課題を解決する以前にいくつかの困難が存在するために、研究は順調には進展していない。
このため研究計画を変更し、さらに補助期間を1年延長することとして申請を行い、承認されている。
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今後の研究の推進方策 |
研究概要と進捗状況で述べたように、従来の研究計画通りでは研究は進展しない可能性がある。しかしながら、ここまでの研究過程においてグローバルゲームについてのいくつかの有用な性質を得ている。そこで、研究計画を変更して、今後はこれらの研究を発展させ、経済学への応用可能性を示すことで、本研究の成果としていきたい。具体的には以下のことを目指す。
(1)2人グローバルゲームにおいて、従来の仮定を強くすることにより(対称で、期待利得がシグナルについて狭義単調増加)、複雑な導出過程を単純にすることができた。この導出方法により、いくつかの経済学的な調整問題の均衡選択を行い、その成果を論文にまとめる。 (2)一般の2人非対称グローバルゲームにおいても、ノイズの確率分布にある仮定をおくことにより、見通し良く均衡選択を行うことができる。この方法を投資問題に応用し、その成果を論文にまとめる。 (3)ゲームを決定づける不確実性の要因(ファンダメンタルズ)とノイズの集合を離散化したグローバルゲームについての成果を論文にまとめる。この論文は、情報学やアルゴリズムゲーム理論など、関連分野において発表を行う。
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