研究課題/領域番号 |
20K01568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
茂見 岳志 同志社大学, 経済学部, 教授 (40367967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 社会的選択関数 / 交換経済 / 最適性 / 耐戦略性 / 偏微分方程式 / パレート最適性 / メカニズムデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
メカニズムデザインの研究において、偏微分方程式による新しいアプローチを確立する。消費者がコブ・ダグラス型やC.E.S.型などパラメーターで記述できる効用関数を持つと限定したうえで、この問題を連立偏微分方程式の解の存在問題に帰着させる。 第一に、この連立偏微分方程式を解くことで、最適かつ耐戦略的で非独裁的な配分メカニズムが存在するかどうかを明らかにする。 次に、同様のアプローチが交換経済における財配分の問題だけでなく、最適性・耐戦略性を主題とするメカニズムデザインの問題に広く応用できることを示す。
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研究実績の概要 |
当年度は残念ながら研究が進展していない。研究の主題は多人数の経済において、消費者の選好に応じて配分を決めるメカニズムを考えたときに、最適性、耐戦略性、非独裁性という望ましい性質を満たすものがあるかどうかを明らかにすることである。そのアプローチとしてメカニズムと選好を表現する効用関数に微分可能性(あるいは解析性)を仮定することで、問題を連立偏微分方程式系により表現することが可能であり、最適性、耐戦略性、非独裁制をみたすメカニズムの存在のを連立偏微分方程式系の解存在に帰着させることができる。
当初このようなアプローチにより、局所的には最適、耐戦略的、非独裁的なメカニズムの存在が示せると予想していた。(具体的にはコーシー=コワレフスキーの定理ないし、カルタン=ケーラーの定理が適用できると予想していた。)前年度に、それは誤りであり、そのようなメカニズムは存在しないという予想へと転換するに至った。以来、その予想を証明すべく奮闘しているが、残念ながらいまだ確定的な結果を得られずにいる。問題は、連立偏微分方程式系の解の非存在(あるいは存在)を確定したいのだが、当初予想したような解存在の定理が適用できるものではなく、かといって、簡単に非存在を言えるものでもない。当該のモデルに特化して、解の非存在(あるいは存在)を証明することが必要であり、そのためにさらなる研究の進展が必要であるが、そこに至れていないのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述したように、苦戦している。問題は、連立偏微分方程式系の解の非存在を証明することである。解(求める関数)の数に比して、それらが満たすべき方程式の方が多く、解の非存在を予想しているが、証明できていない。
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今後の研究の推進方策 |
第1は現在の連立偏微分方程式系の問題に取り組むことである。数学の問題としては明確であり、一層に注力して取り組みたいと考えている。
第2に、これだけ時間をかけて解決できないことを踏まえると、別の手法によることも必要かもしれない。冒頭に記したように、経済学の問題として、最終的に明らかにされるべきは、最適性、耐戦略性、非独裁制をみたす配分メカニズムの存在・非存在を、限られた選好、例えばコブダグラス型効用関数で記述される選好の下で明らかにすることである。その意味では、偏微分方程式の利用に拘泥する必要はない。しかしながら、偏微分方程式を用いた問題記述が本研究課題のテーマであるから、その方向で解決に至りたいと考えている。
第3に、消費者が2人の場合などは、偏微分方程式を用いた記述により、最適性、耐戦略性、非独裁制をみたす配分メカニズムが存在しないことを簡潔に証明できる。また多人数であっても、特殊な効用関数の場合は同様に、簡潔に分析できる。これらの内容は区切りとして整理したい。しかしながら、特に2人経済の場合は、すでに十分に研究されており、そのようなメカニズムの非存在はすでによく知られた事実であり、偏微分方程式を用いることに、証明が簡潔になるという以上の意義はない。
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