研究課題/領域番号 |
20K01570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 公益社団法人都市住宅学会(都市住宅研究センター) |
研究代表者 |
吉田 雅敏 公益社団法人都市住宅学会(都市住宅研究センター), 都市住宅研究センター, 研究員 (00201012)
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研究分担者 |
太田 充 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10176901)
S.J Turnbull 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90240621)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 環境オフセット / カーボンニュートラル / 独占的競争 / 一般均衡 / 公共財の自発的供給 / 外部性 / 消費の環境外部性 / 生産の環境外部性 / 環境外部性 / 公共財 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、環境オフセットの自発的供給(経済主体の活動がもたらす環境悪化を彼自身の改善への努力を通じて相殺しようとする試み)について考察する。環境オフセットの議論はカーボン・オフセット市場創設によるクレジット取引という現実例が先行し、経済理論に基づく研究は少ない。例外的研究は完全競争モデルの中で行われてきた。しかし、二酸化炭素を排出する自動車による温暖化やプラスチック製品による海洋汚染の問題は、独占的競争企業による差別化された財の生産と家計によるその消費から生じている。本研究は、このような独占的競争下でのオフセットの自発的供給が地球環境問題に対する有効な解決策となりえるかを理論的に検討する。
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研究成果の概要 |
本研究は環境オフセットの自発的供給問題について検討した。家計が独占的競争企業により生産された財を消費するのみならず、この財の消費と生産による環境汚染を相殺するために完全競争企業により生産されたクリーンな環境財を購入する一般均衡モデルを定式化した。家計数の増加がネット・オフセットの均衡水準に及ぼす効果が研究された。環境汚染が消費外部性による場合にはこの効果は効用関数の特定化に依存する。しかし、家計数が増加すると、効果はこの特定化から独立で、ネット・オフセットがゼロになる「カーボン中立性」が成立する。この中立性は汚染が生産外部性による場合にも成立することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
環境オフセットの事例は、再生エネルギーや森林保護への投資を通じ二酸化炭素排出を削減するため、企業により発行された証書を通じて各人に他人への支払いを許す市場取引可能なカーボン・オフセットである。しかし、オフセットに関する議論はこのような現実例が先行し、厳密な経済理論を基礎にした分析はこれまで行われてこなかった。本研究は排出量を差し引いたネット・オフセットが実質ゼロになるという「カーボン中立性」定理が多人数社会で成立することを証明した。この学術的研究成果は、日常生活の中でも最近頻繁に用いられるようになってきた「カーボン・ニュートラル」という言葉の実行可能性を理論的に支持する社会的意義を持つ。
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