研究課題/領域番号 |
20K01605
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
多和田 眞 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (10137028)
|
研究分担者 |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10322992)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 戦略的貿易ゲーム / リカードの比較優位論 / 公共インフラ供給 / 非対称ナッシュ均衡 / リカード・モデル / 純粋公共インフラ / 比較優位論 / ナッシュ均衡 / 公共インフラ / 貿易政策 / 貿易利益 / 政府の戦略的行動 / 地域間貿易 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の中国によるアジア地域への積極的なインフラ供給戦略は日本や欧米などのインフラ供給に影響を与えている。国家間のインフラ供給競争が、世界貿易ひいてはそれによる世界経済にどのような影響をもたらすかを考察する。特に本研究では国家間のインフラ供給戦略にもとづく公共インフラの供給が国際貿易を通してもたらす世界経済における国家間の貿易状況を見ていくことで世界経済が地域間でのブロック化につながる可能性を、理論モデルを構築して討するものである。
|
研究実績の概要 |
本年度の研究は二国間での戦略的な国内のインフラ供給のゲームについて、リカード的な貿易モデルで分析を行った。 労働賦存量の大きさの異なる二つの国を考え、各国の政府は自国の厚生を最大にするように自国内に公共インフラを供給する経済を考える。そしてこれら二つの国が貿易を行っているときに相手国の公共インフラの供給量の水準に応じて自国の最適な公共インフラの供給量を決めるように各国政府が行動するものと考える。このような政府間の公共インフラの供給ゲームのナッシュ均衡下で達成される二国間での貿易のパターンについて、労働賦存量が大きな国は公共インフラが生産により大きな効果を享受している財を輸出する一方で労働賦存量が小さい国はその反対の財を輸出することになるという結果を得た。 この結果によって、基本的には労働賦存量が大きな国ほど自給自足状態での公共インフラが生産により大きな効果を享受している財の相対価格が低くなるため、通常の比較優位論の法則が供給インフラの戦略的供給ゲームの場合でも機能していることが解明された。以上の結果は国際誌Foreign Trade Reviewに論文として掲載されている。 引き続いて、上述のモデルにおいて両国の労働賦存量が同一である場合にナッシュ均衡下での両国の公共インフラの供給量は同一になるかどうかという課題の解明を行っている。この問題は同じようなファンダメンタルズを持つ国の間でも経済状態が異なるという状況が現実にしばしば見受けられることから、symmetry-breakingの問題として知られている。この課題について、本研究課題において同じ二つの国でも均衡においては貿易を通して異なる経済状態になるという分析結果が得られているが、このよりわかりやすい分析方法への改良を現在行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染の影響で本研究助成で進めてきた分析に関して、当初の予定に比べて、海外の研究者との直接的な交流が十分にできなかったため、分析に若干の遅れが生じたことと、アジアにおけるインフラ環境についての海外研究者との意見交換が十分にできなかったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
2国間での戦略的な公共インフラの供給ゲームを想定し、同じような国の間での貿易において決定される公共インフラ供給量が二国間で非対称になるような状況に焦点を当てる。そのような状況がどのような環境の下で発生するかについてより明解な説明と一般化を行い、さらにグローバル経済における公共インフラを通した経済のブロック化についての考察を行う。将来的に本研究課題で蓄積された研究成果を英文の研究書にするための原稿の作成にも取り掛かる予定である。
|