研究課題/領域番号 |
20K01615
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
大塚 芳宏 東北学院大学, 経済学部, 教授 (20632235)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 景気循環分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,日本の景気状態を転換点と景気水準の観点から分析する。まず,景気が後退期から拡張期に変わる転換点である景気基準日付がデータの選択によってどれほど変化するのかを分析する。そして、景気判断における従来方法の妥当性について実証分析の面から検証する。次に,景気水準が一定ではない統計モデルを拡張し,日本の景気状態についてより詳細な情報提供するモデルの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、コロナ禍における景気動向の実証研究として、以下の2点を行った。 まず第一に、"An empirical study about recession and the COVID-19 pandemic in Japan"という論題で、The 6th Eastern Asia Chapter of the International Society for Bayesian Analysisのオンラインセッションで研究発表を行った。同発表は、新型コロナウイルス感染拡大が日本経済にどれほどのショックを与えたかについて、2008年の金融危機と比較して、被害の特徴について明らかにした。そして、こうしたネガティブなショックをモデル化するために、歪みがあり、裾の厚い分布であるGeneralized Hyperbolic skew-t分布を用いて、日本の景気循環を分析した。推定結果より、日本の景気後退期と拡張期の分布は、共に歪みを持っていることが示された。これにより、景気分析には、景気局面において水準が異なるという非対称性とともに、それぞれに仮定する確率分布も非対称な分布も用いる必要があることを示した。 もう一つは、コロナ禍と地域別景況感の実証研究である。これは、「地域別景況感におけるコロナ禍の影響と波及効果の推定 」という論題で、統計関連学会連合大会にて発表した。同発表では、我が国における感染拡大の特徴が、首都圏から地方に広がっているという特徴を考慮し、時空間動学パネルデータモデルを用いて分析を行った。地域の状況を示す統計としては、速報性の高い景気ウォッチャー指数を用いて、地域間の関係性と地域別失業率を作成し、雇用と景気実感の関係性を定量的に分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究進捗の遅延理由として、景気の定義に変更が起き、従来研究との接続を模索しているからである。景気動向指数を作成及び公表している内閣府社会経済総合研究所が2022年8月22日に「景気を把握する新しい指数」の公表を開始した。この新しい指数では、大きく分けて2つの変更点がある。まず、景気の定義が「景気は経済変数の共変動」から「経済の総体量の変動」と明文化された点である。次に、景気の現状を表す一致指数が、生産・分配・支出の3面から捉えるとして、景気成分を抽出する構成系列に大幅な見直しがされた点である。これにより、景気の水準や景気の転換点の推定において、従来の手法・統計モデルとの差異が生じる可能性がある。 このように、ベンチマークとすべき公的統計側で大幅な変更があったことから、新指数の特徴や問題点を洗い出す必要がある。そして、従来指数や従来方法による景気局面判断方法を新しい景気指数の構成系列で利用した場合、どのような状況が起きるかを検証することが肝要になる。このことから、研究進捗が計画より遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
遅延理由として挙げた公的統計の仕様変更の問題点を速やかにまとめ、本研究課題が進めてきたモデル開発の適用を検証していくことが、推進方策となる。
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