研究課題/領域番号 |
20K01616
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
猪原 龍介 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (20404808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 地域間通勤費用 / テレワーク / 労働力の異質性 / 都市集積 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、グローバル化に伴い都市集積が拡大する中での地域文化と労働力の多様性の形成について分析を行う。ここで労働者は各の生まれ育つ地域文化の独自性に応じて差別化されるものとし、労働力の多様性に基づく集積の経済を通して都市集積が形成される。しかし都市集積には長期的な負の側面として都市内の労働者の均質化を促すことが考えられる。このことについて、本研究では以下の3点について分析を行う。(1)都市集積と地域文化の生成の関係、(2)労働力の異質性の段階的な推移、(3)GIS等を用いたシミュレーション分析。
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研究実績の概要 |
テレワークの普及が地域経済に与える影響を考慮して、空間経済学の2地域モデルに地域間通勤費用を導入したモデルを使って分析を進めている。通勤費用の低下が居住地の分散化と就業地の集中化をもたらすことを日本の都市雇用圏のデータに当てはめることで確認した上で、そうした地域構造の変化が社会厚生に与える影響について分析を行った。そこで得られた結果はHelpman型の2地域モデルで得られたものと整合的であるが、より詳細には以下のとおりとなる。 集計的な社会厚生関数について、(A)雇用が2地域に対照的に分散している場合、(B)雇用が一方の地域に集中しており、一部の労働者がもう一方の地域に居住し、結果として地域間通勤が行われている状態、(C)雇用と居住がともに一方の地域に集中しており、地域間通勤が見られない状態の3つのケースについて比較する。その結果、(A)と比べて(C)の社会厚生が低下する場合があるが、地域間通勤費用が低い場合において(B)の社会厚生が(A)と(C)よりも高くなることが示された。つまり、地域間通勤費用の低下により居住が分散化し、集中地域での地価の高騰が抑えられることで社会厚生が改善しうることが示された。以上の成果をまとめることで、日本地域学会の年次大会(麗澤大学、オンライン)で報告を行った。 一方で、郊外地域への居住の分散が知識の伝播や文化的な刺激を通して当該地域の生産性上昇をもたらすとしてシミュレーション分析を行った結果、いずれの都市雇用圏でも郊外居住により社会厚生が改善することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では地域経済構造が地域文化の創成に与える影響を分析することを目的としているが、昨今のテレワークの普及が地域構造に少なからぬ影響を与えていると考えられる。こうした大きな経済環境の変化を考慮する必要があると判断した結果、基礎研究をまとめるのにやや時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られている研究成果を学術誌に投稿する予定である。その成果を踏まえながら、地域文化の創成と地域構造の関係について研究を進める予定である。
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