研究課題/領域番号 |
20K01622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 名誉教授 (10185085)
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研究分担者 |
白 映旻 福山大学, 経済学部, 講師 (00844185)
横田 一彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40390819)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 技術のスピルオーバー / 水平的スピルオーバー / 垂直的スピルオーバー / 技術吸収能力 / グローバルバリューチェーン / 生産性 / 外国企業 / 直接投資 / 国際貿易 / 国際投資 / 経済発展 |
研究開始時の研究の概要 |
1980年代以降、多国籍企業は従来の全生産工程を本国に置き、生産された製品を外国に輸出するという戦略から、生産工程を分割し、分割した生産工程を複数の国々に配置するというフラグメンテーション戦略へと移行した。それらの生産工程を連結することで、多くの国々を巻き込む形でグローバルバリューチェーン(GVC)が形成されていった。GVC形成の動きは21世紀に入ると飛躍的に拡大した。その背景には、技術進歩、規制緩和、貿易・投資自由化政策などによる輸送および通信コストの大きな削減があった。 本研究では、アジア諸国を対象として、企業によるGVC参加の決定因を分析すると共にGVC参加による企業への影響を分析する。
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研究実績の概要 |
地場企業がGVCに参加することによる経済的影響、特に生産性への影響についての分析は過去の2年間で行った。本年では、GVCへの参加ではなく、進出した外国企業による地場企業への経済的影響、具体的には生産性への影響を分析した。地場企業は進出した外国企業から様々なルートを通じて技術や経営ノウハウを獲得する可能性がある。例えば、地場企業は外国企業との取引を通じて、技術や経営ノウハウに関する情報を入手することができる。また、外国企業で働いていた労働者を雇用することで、外国企業の持つ技術や経営ノウハウを獲得することもできる。地場企業が外国企業の持つ技術や経営ノウハウを吸収することができれば、生産性の向上につながる可能性は高い。このような形による外国企業から地場企業への技術や経営ノウハウの移転を技術のスピルオーバーと呼ぶが、分析では3つのタイプのスピルオーバーを取り上げた。一つは地場企業と外国企業が同一産業内で操業しているケース(水平的スピルオーバー)、残りの二つは地場企業と外国企業が異なる産業に属しているケース(垂直的スピルオーバー)であるが、そのうちの一つは地場企業が外国企業に部品などを供給するケース(後方的スピルオーバー)、今一つは地場企業が外国企業から部品などを調達するケース(前方的スピルオーバー)である。世界銀行のデータを用いて、107か国について2007年から2020年を対象とした分析を行った結果、水平的スピルオーバーの存在は確認できなかったが、垂直的スピルオーバーの存在を確認した。また、地場企業や地場企業が存在する国・地域の教育水準を上げることで、垂直的スピルオーバーの効果が向上するだけではなく、水平的スピルオーバーの効果が表れることを確認することができた。この分析結果は技術や経営ノウハウの吸収には労働者の技術吸収能力が重要なことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析に必要なデータの入手には時間がかかったが、データ入手後には研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、GVCによる参加企業における雇用や労働賃金に与える影響を分析する予定である。
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