研究課題/領域番号 |
20K01623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂西 明子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00316085)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 都心回帰 / 家族規模 / 世帯人員 / 子ども / 少子高齢化 / 住宅面積 / 地代 / パワーカップル / 世帯 / 人口移動 / 東京 / 若年就業者 / 居住地 / 就業 / 移動 / 大都市圏 / 都市政策 / 人口 / 就業地 |
研究開始時の研究の概要 |
東京、大阪の大都市圏では、1970年代~1990年代半ばまでは中心都市である東京23区、大阪市の人口が減少していたが、2000年代に入りこれらの中心都市人口が都心部を含め再び増加する都心回帰現象が見られる。 大都市圏の空間構造の変化について、中心都市、郊外がどのような変化を辿るのか、都市化過程の研究が国内外で行われてきたが、日本ではアメリカなどの他国と比べて急速に少子高齢化と人口減少が進んでおり、人口構造面での変化が大都市圏構造に及ぼす影響を捉える必要がある。本研究では、東京、大阪の2大都市圏を対象として、地価などの経済的要因だけでなく人口構造変化が近年の都心回帰現象に与えた影響を考察する。
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研究実績の概要 |
2022年度にアメリカで行われた第62回Southern Regional Science Association(SRSA)カンファレンスで、家族数、特に子どもの存在に依存して、土地の消費への選好が高まり、地代勾配が緩やかとなることを示した理論モデルと実証分析の結果を示した。モデルの結果に基づくと、世帯規模の縮小、とくに子どもの減少による少子高齢化による人口構造変化によって、都心回帰を説明できる。2023年度には、過年度に発表した理論モデルについて、英文ジャーナルの査読誌に投稿できるように修正に取り組んできた。 本研究課題は新型コロナウイルス感染症の影響により、研究活動に支障を来した期間を数年間含んでおり、学振への申請により本研究課題の2024(令和6)年度末までの延長が認められた。令和6年度中に論文の査読を経て、本研究課題の研究成果をさらに発表する予定である。 また、2023年度には人口構造からの都心回帰を説明する分析の一環として、東京都心区での就業者の住宅立地の要因を考察する実証分析を行った。東京都都心区で働く既婚男性のミクロデータを用いて、従業地から住居市区町村までの距離を目的変数とした分析を行った結果より、世帯の人数、とくに子どもの数が多くなるほど、有意に遠距離に居住することが示された。そして、本人の職業が管理的、専門的・技術的な職業であること、妻が働いていてかつ正社員であること、妻の職業が管理的、専門的・技術的な職業である場合には、有意に職住近接の住宅立地となることが示された。夫婦の双方が高収入を得ている共働きのパワーカップルの台頭は職住近接の住宅立地を促し、都心回帰に寄与することが考えられる。令和6年度には、パワーカップルの増加と職住近接の住宅立地の関係について、理論モデルと実証分析から考察を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に国際学会で発表した、都心回帰を少子高齢化の人口構造面から説明する理論モデルについて修正に取り組んできたが、英文ジャーナルの査読を経て査読誌に公開されるまでには時間が必要である。 本研究課題は日本学術振興会による新型コロナウイルス感染症の影響に伴う科学研究費助成事業の延長の承認を受けて、2024年度も取り組むこととなった。2024年度初頭の現在は新型コロナウイルス感染症からの研究への影響の問題はほぼ解消しており、学振による延長措置の効果を最大限に生かすように、2024年度には複数の論文発表と学会発表を行い、本研究課題の成果を十分に残せるように取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
本件研究課題は令和5年度が最終年度となる予定であったが、令和5年度に日本学術振興会より出された新型コロナウイルス感染症の影響に伴う科学研究費助成事業の延長の特例により、令和6年度(2024年度)が最終年度となることになった。 過年度の学会発表で、少子高齢化と都心回帰について研究のアイデアと理論モデルを発表したが、修正や査読等の関係で未公刊となっている論文について、最終年度の2024年度には、査読論文を含めて複数の論文の公表、そして2024年度中に新たに行う研究についても国内外の複数の学会での成果発表を行い、本研究課題の成果が大きくなるように取り組むことを考えている。
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