研究課題/領域番号 |
20K01628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
氏川 恵次 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (90361873)
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研究分担者 |
申 雪梅 立命館大学, 経済学部, 准教授 (00636962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | SEEA / SDGs / 政策分析 / 経済モデリング / 経済政策 / 経済学 / 経済統計 / 環境政策 / 環境評価 / 国民経済計算 / サテライト勘定 / 産業連関分析 / CGE / 計量経済学 / 経済政策論 / 環境経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
SDGs等の総合政策の分析手段として、国際的には環境・経済統合勘定(SEEA)が注目され早急な実装が求められている。例えばSDGs6の水環境に関しては、経済成長と水環境問題のトレードオフに直面する地域での定量的・総合的な分析と政策への適用が求められている。本研究では、中国の水に関するSEEAを推計して、水資源・水質汚染物質と経済活動の相互作用を明らかにして、貨幣的・物的単位で評価する。またSEEAから拡張産業連関表とCGEモデルを推計して、環境政策が及ぼす影響を定量的に示す。本研究はSDGsに対応するSEEAを用いた、資源ガバナンスの定量的な明確化と政策支援の先行モデルとなることが期待できる。
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研究実績の概要 |
前年度までは、第1に、物的勘定および貨幣評価を適用した、包括的な貨幣的勘定から構成された中国のSEEAの試作を試みた。第2に、このSEEAを用いて中国の水環境分析用の環境拡張産業連関表を推計した。具体的には、物的/貨幣的供給・使用表のデータに基づき、生産物×生産物型と産業×産業型(産業販売構造固定仮定および生産物販売構造固定仮定)の対称産業連関表を作成した。並行して、同じくSEEA、とくに物的/貨幣的供給・使用表のデータを基にして水環境分析用の社会会計行列と、これを用いたCGEモデリングを進めた。今年度は、SEEAおよび物的/貨幣的供給・使用表に基づく、環境拡張産業連関表および環境分析用CGEモデルを用いた、政策分析・シミュレーションを予定した。具体的には各種の税率の変化等をもたらす政策手段が、水資源、水質汚染物質、経済活動への影響をどれほどもたらすかについて、明らかにすることを目的とした。この分析の前提としては、中国のSDGs目標6等が該当した。SDGs6は、水資源の効率的利用、排水と水質汚染物質の低減および再利用を目的とした、課税・補助金・排出権取引・規制といった政策手段を設けている。当初の計画では現地調査・ヒアリング等を通じて、この具体的な政策・施策に関する情報を補足する予定であったが、新型コロナウイルスや中国現地の政府対応の影響が支障となった。このため上記の各モデルを用いて、想定される各効果のシミュレーションの試行を今年度は試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度まで計画に沿って、先ず、物的/貨幣的供給・使用表、水関連の排出勘定、資産勘定、経済勘定系列というSEEAの主な諸勘定から、物的勘定および貨幣評価を適用した、包括的な貨幣的勘定から構成された中国のSEEAの施策を実施してきた。またSEEAのとくに物的/貨幣的供給・使用表のデータを基にして水環境分析用の社会会計行列とこれを用いたCGEモデリングを進めた。さらにこのSEEAを用いて、物的/貨幣的供給・使用表のデータに基づき、生産物×生産物型(生産物技術仮定および産業技術仮定)と産業×産業型(産業販売構造固定仮定および生産物販売構造固定仮定)の対称産業連関表を作成した。中国の水環境分析用の環境拡張産業連関表を推計した。今年度も当初の計画に従って、SEEAおよび物的/貨幣的供給・使用表に基づく、環境拡張産業連関表および環境分析用CGEモデルを用いた、現地調査・ヒアリング調査で収集した中国SDGs6に対応する、水環境政策分析およびシミュレーションを試みた。この現地調査・ヒアリングに関しては、新型コロナウイルスや中国現地の政府対応の影響が支障となったため具体的な政策・施策に関する情報の収集は次年度に延長したが、政策分析およびシミュレーションに必要な、物的・貨幣的単位での環境拡張産業連関表とCGEモデリング、さらに試行的な分析は既に実施済みであり、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、当初の研究計画に沿って、既に試作した中国の水に関するSEEAを用いて、水資源・水質汚染物質と経済活動の相互作用を明らかにして、ハイブリッド勘定と包括的な貨幣勘定で評価することをさらに具体的に進めていく。またSEEAから推計した環境拡張産業連関表とCGEモデルに基づき、中国の環境政策が水環境と経済活動に及ぼす影響を定量的に示すことをあらためて推進する。具体的には各種の税率の変化等をもたらす政策手段が、水資源、水質汚染物質、経済活動への影響をどれほどもたらすかについて、明らかにすることを目的とする。この分析に先立ち、中国のSDGs目標6、具体的に水資源の効率的利用、排水と水質汚染物質の低減・再利用を目的の、課税・補助金・排出権取引・規制といった政策手段について、政策・施策に関する情報を収集する。この収集にあたっては、現地での新型コロナウイルスの影響が緩和される見通しであり、現地への渡航も可能となってきており、遂行できる見込みである。さらに北京師範大学や清華大学等の研究者へのコンタクトにより、複数のアプローチを実施して、有効な情報を入手する見通しである。こうした実際の具体的な政策に関わる情報に基づき、中国のSDGsに応じた環境政策手段が、水資源のフロー・ストック、各種水質汚染物質の排出量、経済効果の各々の変化にもたらす影響を物的・貨幣単位の産業連関・CGEモデルで分析する。
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