研究課題/領域番号 |
20K01630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 剛 京都大学, 経済学研究科, 教授 (90314830)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | M&A / イノベーション / 中国 / 国有企業 / 非国有企業 / 国内M&A / 資本市場 / 銀行融資 |
研究開始時の研究の概要 |
中国における国有企業・国策企業による国内民営企業を対象とした買収・合弁(M&A)はイノベーションを促進しているかが、本研究の核心的リサーチクエスチョンである。中国内資企業間のM&Aによるイノベーション促進効果を考察しようとするのは、本研究が世界初の試みである。そして政策提言上、このイノベーション促進効果は、中国が開発経済学上で注目される「中進国の罠」を回避する契機となりうる。本研究遂行のために、現地調査による実態把握を背景とし、R&D投資情報を含む中国上場企業マイクロパネルデータ、中国内資企業による特許申請・取得データ、中国国内M&Aデータの3つのデータをマッチングさせた計量分析が行われる。
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研究実績の概要 |
2年目となる前年は、ノンパラメトリックPSM-DID等の計量分析により、M&AからR&D投資と特許申請・取得への因果関係を探求する次の取り組みの前段階として、もっともナイーブな処置群・対象群の内生性を考慮しない企業固定効果効果項付きDIDをおこなったところ、非国有企業では、R&D投資を最も盛んにおこなうグループがM&A後にもさらにR&D投資を活発化させ、かつ特許申請・取得を活発化させる傾向が見えてきた。国有企業ではM&AがR&D投資を活発化させない一方、国有企業はM&A後に特許申請・取得を盛んにおこなうことも分かってきた。 この2年目の成果の上で、3年目は1年目に考察したM&Aに踏み出す企業の選別メカニズムをその後の計量分析にも取り込んだ、ノンパラメトリックPSM-DIDを用いた計量分析により、M&AからR&D投資と特許申請・取得への因果関係を探求した。その結果、非国有企業では、R&D投資を最も盛んにおこなうグループがM&A後にもさらにR&D投資を活発化させ、かつ特許申請・取得を活発化させるが、国有企業ではM&AがR&D投資を活発化させない一方、国有企業はM&A後に特許申請・取得のみを盛んにおこなうことが厳密な因果関係として確認された。 非国有企業においてはM&Aが買収企業自身によるイノベーションへのインプットを盛んにおこなわせるように動機づけるしそれがM&Aをおこなう目的であるのに対し、国有企業ではM&Aは買収先企業に蓄積された技術を自社に導入しイノベーションアウトプットを迅速にする目的でおこなわれ実際にそれに成功していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19により中国での現地調査が全くおこなえなかったこと、更にはそれが仮設構築及びそれを検証する計量分析の作業スピードにまで影響を及ぼしたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画された計量分析を続けるとともに、中国における現地調査の可能性を探っていく。
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