研究課題/領域番号 |
20K01634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 萬里 青山学院大学, 経済学部, 教授 (40424212)
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研究分担者 |
田中 鮎夢 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (20583967)
白井 克典 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (90547225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 直接投資 / クロスボーダーM&A / グリーンフィールド投資 / 集積効果 / 金融市場 / 重力モデル / 海外直接投資 / M&A / 集積 / 企業データ |
研究開始時の研究の概要 |
海外直接投資は、クロスボーダーM&Asとグリーンフィールド投資に大別されるが、最近の海外直接投資の趨勢には、クロスボーダーM&Asの急増や特定の都市への極端な集中といった現象が顕著に見られる。こうした傾向の背景にはどのような要因があるのか、クロスボーダーM&Asとグリーンフィールド投資の決定要因にどのような差異があるのかといった問いに対して、本研究では、二つの投資形態を区別しながら、それらの決定要因を実証分析によって明らかにしていく。実証分析では、直接投資の決定要因として、既存研究で示唆される企業の生産性といった企業属性に加え、投資先都市の集積がもたらす影響など地域属性にも焦点が当てられる。
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研究実績の概要 |
越境M&Aの案件データを元に、第一に国レベルに集計化したデータで重力モデルの推計を実施し、特にM&Aアドバイザーの集積が取引額に与える影響について検証を試みた。M&AアドバイザーはM&A候補の探索・選定、デューデリジェンス、対象企業の事業価値の算出など、多くの重要な役割を担っており、これらの活動は、買収企業と対象企業の間の情報の非対称性を減らすことを目的とした情報生産と見なされる。重力モデルの結果は、M&Aアドバイザーの集積がM&A取引額に正の影響を持ち、とりわけ買収側の国においてその影響が顕著であった。案件数と案件当たりの平均額に与える影響とでは特に案件数に与える影響が大きいことも明らかとなった。さらに、M&Aアドバイザーの利用と、金融機関および金融市場の発展の程度との間には代替性があり、金融環境が脆弱の国ではアドバイザーがその役割を代替していることが示唆された。第二に、案件レベルのデータを用いた研究では、対日直接投資が諸外国に比べて少ない現状を鑑み、M&Aの促進に寄与したと思われる2007年5月1日に施行された会社法の「合併等対価の柔軟化」の影響を検証した。影響を識別するため差の差の推計手法を用いて分析した結果、この制度変更によって日本企業を対象とするM&Aが増えたという証拠は認められなかった。また、アドバイザー有無とM&Aの金額との間にここでも相関関係が見られた。買収側・被買収側ともにアドバイザーが関わっていない案件に比べ、アドバイザーがいずれかまたは双方についている案件は買収金額に顕著な差がある。特に双方にアドバイザーがついている案件は、片方にアドバイザーがいる案件よりも買収金額高い。また、片方にのみアドバイザーがいる案件では買収側についている案件の方が被買収側についている案件よりも高い。アドバイザーの存在が大型案件の受け入れには必須の条件になることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はほぼ計画通り進んだが、研究成果の報告機会である海外学会の延期と査読付き国際誌の査読プロセスに時間がかかっているため、一部の成果について最終成果物にまとまっていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中の査読プロセスへの対応を済ませ、最終成果物を専門誌において公表する。並行して米国で開催予定の国際学会での口頭報告を計画している。
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