研究課題/領域番号 |
20K01644
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
|
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
太田代 幸雄 南山大学, 経済学部, 教授 (30313969)
|
研究分担者 |
蔡 大鵬 南山大学, 経済学部, 教授 (20402381)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 企業の異質性 / 金融市場の不完全性 / 国際貿易 / 海外直接投資 / 経済成長 / 貿易政策 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,世界中の多くの国々で産業内貿易が行われている。このような潮流の中で,今後も産業内貿易,あるいは海外直接投資の変遷が予想されるが,時間を通じた貿易活動のダイナミズムとそのメカニズムを明示的に扱う研究については十分には行われていない。本課題は,既存の「企業の異質性」を仮定した国際貿易理論に動学的要因を導入し,さらに「金融市場の不完全」が存在しているときの国際貿易パターンの特性について研究する。その際,借入制約がどのような産業・企業に影響を及ぼし,海外進出企業数がどれだけ変化するか等の問題を考察することで,多様性や多層性が混在する国際市場のメカニズムについて理論的・定量的に分析する。
|
研究実績の概要 |
本研究は,既存の「企業の異質性」を仮定した国際貿易モデルに動学的要因を導入し,「金融市場の不完全」が存在するとき国際貿易の特性が如何なるものであるのかについて研究する。また,借入制約がどのような産業・企業に影響を及ぼし,その結果,海外進出企業数がどれだけ変化するか等の問題を考察することで,多様性や多層性が混在する国際市場のメカニズムについて理論的・定量的に分析することを目的としている。本研究に関するこれまでの流れとしては,テーマに関連する既存研究の流れを整理し,新たな理論構築に向けてどのような要因が重要であるかを提示することから研究を始めた。また,本研究課題の理論が,現実に対してどれだけの説明力を持っているかについても併せて検討した。また,産業間貿易に関わるモデルだけでなく海外直接投資に関わるモデルについても研究を進めた。
今年度は,これまでの研究年度における新型コロナウイルス感染症の問題からやっと脱しつつある1年であった。国内外の学会もコロナ禍以前に戻りつつあるが,一部が引き続きオンライン化され,研究機会が減少した環境下ではあり,その対応に追われる状況であった。そのような状況下ではあったが,金融市場の不完全性に焦点を当てるため,銀行部門に関する不完全競争が発生している状況下における経済発展の理論・数量分析を構築した。特に,銀行業に関する不完全競争市場を対象にするMonti-Kleinモデルに資産の不完全な代替性を導入して分析を行い,これまで殆ど分析されてこなかった金融政策に関する流動性パズルが発生しうる可能性について理論的に検討を行った。このモデルは,現在,海外の論文雑誌に投稿する準備がほぼ完了したところである。
以上は,本研究課題における既存研究の整理の過程で生まれた研究であり,既存研究では不十分な要因をモデルに盛り込むことでこの分野の研究をさらに進展させたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで,当初の計画の通り,金融市場の不完全性を盛り込んだ動学的経済モデル分析に関する最新の文献を検討した。また,これまでの研究成果を基に,企業ならびに家計の行動が動学的に見て,如何に静学的な分析から修正されるかという問題意識を持ち,本研究の基礎となる理論モデルの拡張を検討した。しかしながら,分析結果が煩雑になってしまい,その解析には若干の工夫が必要となっている。現在,1本の研究論文の投稿とともに,さらなる研究の進展を目指して理論モデルの再検討および実証データに基づいたシミュレーション分析について検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には,昨年度と同様に,研究を進める予定である。
具体的に言うと,国際貿易論においては,大別して各国企業が国内で生産活動を行い完成した財を国際的に輸出入するモデルと,各国企業が海外直接投資によって他国に進出しそのプラントで生産活動・販売を行うモデルが存在する訳であるが,残りの期間でプロジェクトを完遂するために,本年度は,上述の要因が存在する経済における経済政策の効果等,経済厚生に関わる問題を分析する。モデル構築の作業手順もこれまでと同様で,研究分担者との打ち合わせを行いながら代表者がモデル構築を担当する。
さらに,現実的に妥当なパラメータを設定し,数値計算を行い現実的な状況における解の性質を検証する。また,必要に応じて現実のデータを用い計量分析を行う。特に,経済厚生分析は動学モデルにおいては必ずしも容易に分析可能とは言えないことも多く,本研究課題のモデルも構造が複雑であるため,シミュレーション等の数的処理が重要になる可能性がかなり高い。代表者・分担者でプログラミング等を精査し分析を完成させる必要が有るかもしれない。また,実証分析についても併せて分析を進める。代表者と分担者との基本的役割分担に変更は無いが,研究全体のまとめ,将来の課題を議論し作業を完成させる。最後に,様々な機会における研究発表を通じてモデルの完成度をより高め,海外の研究論文雑誌に投稿する。
|