研究課題/領域番号 |
20K01659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 教授 (90365065)
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研究分担者 |
大越 裕史 岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (90880295)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 移転価格 / 自由貿易協定 / アンチダンピング / 多国籍企業 / 権限委譲 / 原産地規則 / 他国籍企業 / 地域貿易協定 / 関税 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル・バリュー・チェーンが世界中で拡大するなか、多国籍企業の国境を越えた企業内取引が拡大しており、移転価格の設定と企業の国境を越えた利潤分配の問題を経済学的に分析することの重要性が、ますます高まっている。その一方で、様々な貿易政策が世界で発動されている。しかし、貿易政策と移転価格税制との関係に関する経済分析は、これまで十分に実施されてこなかった。 本研究では現実に観察される企業の経営戦略と最新の貿易政策の動向を踏まえた国際貿易モデルを構築することにより、貿易政策が移転価格にいかなる影響を与え、またそうした移転価格の変化は貿易政策の厚生効果をいかに変容させるかをを理論的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究3年度目となる今年度は、昨年度までに実施した2点の研究テーマについて、分析をさらに精緻化した。 まず、「自由貿易協定の締結による生産立地移転と権限移譲が多国籍企業の法人税回避に与える影響」に関する分析について、先行研究との違いをより明確にしつつ、現実の政策議論との関係に関する記述を強化するなどの改訂を行った。現在、同論文を査読付きの国際学術誌に投稿しており、結果待ちである。 次に、昨年度から引き続き実施している、「企業内取引価格に対するアンチダンピングが、多国籍企業の法人税回避行動と各国の厚生に与える影響」について、理論分析を深めつつ内容の大幅な改訂を行なった。具体的には、貿易自由化の影響に関する分析を加え、輸送費が比較的高い状況から貿易自由化を実施すると、ダンピングマージンが負から正に変わり、アンチダンピング措置が発動されること、しかしさらなる自由化は逆にアンチダンピング措置の発動を抑制することを確認した。また、移転価格設定のConcealment Costに関して貿易量に依存するケースを新たに分析し、貿易量に依存しない場合と本質的な違いが無く、基本モデルの結果がロバストであることを確認した。また、移転価格とアンチダンピングの関係に関する現実例を加えた。同論文は、研究分担者が韓国国際経済学会(KIEA)において報告するとともに、経済産業研究所のディスカッションペーパーとして公開され、査読付きの国際学術誌に投稿し、却下されたものの改訂の上で新規投稿の機会(Reject & Resubmit)が与えられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍が終息に向かっているものの、予定していた学会報告を行うことができなかったため、研究実施年度の1年間の延長をした。アンチダンピングと移転価格の論文に関しては、学術誌に投稿し、新規投稿として再投稿の機会が与えられており、順調に進展している。一方、自由貿易協定と多国籍企業の権限移譲に関する論文に関しては、査読付き学術誌に投稿し、結果待ちの状況である。以上より、おおむね順調に進展していると言える
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今後の研究の推進方策 |
地域貿易協定と移転価格の研究に関しては、既に論文2編が査読付き学術誌に出版されており、残り1編についても最終年度中に査読付き国際学術誌への掲載されることを目指す。アンチダンピングと移転価格の分析に関しては、早いうちに学術誌により提示されたコメントに対応し、新規投稿として再投稿する。
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