研究課題/領域番号 |
20K01670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
新開 潤一 近畿大学, 経営学部, 講師 (10571648)
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研究分担者 |
高阪 章 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 名誉教授 (00205329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 投資停滞 / トービンのQ / 企業の市場支配力 / 市場支配力 / 生産性 / トービンのq / マークアップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本経済における低成長の要因として投資停滞に焦点を当てる。2000年以降、先進国における低成長の要因は有形資産に対する投資不足であり、その背景には企業の市場支配力が強まったことにあると、近年、議論されている。そのため本研究では、2000年代以降の日本企業の過少投資の度合いを計測するとともに、過少投資と市場支配力との関係を実証的に分析することで投資停滞のメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
1990年代以降、日本経済は長期的な停滞に陥っている。本研究では、その要因のひとつとして投資停滞に焦点を当て、日本企業の過少投資の度合いを計測するとともに、過少投資の要因を実証的に分析することで投資停滞のメカニズムを明らかにする。それを通じて、生産性の向上や賃金成長を達成するための政策を考察することが目的である。 令和4年度に以下のことを行った。まず日本の労働生産性と平均賃金に関して、産業構造変化の枠組みから分析を行い、賃金停滞の要因を検証し、研究成果としてまとめた。日本では、1990年代以降実質賃金が上昇していない。分析では、まず労働生産性と平均賃金の成長率を、雇用シェアをウェイトとした各産業の成長率の加重和である産業内効果と産業間の雇用シフトによる再配分効果に分解した。さらに、2つの効果に対する各産業の寄与をそれぞれ計算することで、生産性や賃金の成長鈍化がどのような形で生じていたのかを明らかにした。日本では1990年代に生産性成長率と平均賃金成長率が大きく低下したが、それは産業内効果の低下とほぼ連動しており、生産性停滞の根本的な要因は各産業での成長率鈍化であった。産業別に見ると、経済を牽引してきた製造業の生産性成長率が鈍化しており、さらに多くのサービス産業で生産性が低下していた。また平均賃金に関しては、ほぼすべての産業で平均賃金が低下していた。雇用は相対的に賃金の低い産業に移動する傾向が見られ、平均賃金の再配分効果は1970年代から2010年代にかけてすべての期間を通じてマイナスであることを明らかにした。 また、共同研究者とともに、東アジアにおけるグローバルおよびリージョナルのマクロ金融リンケージに関する実証分析を実施し、研究成果としてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
オンライン講義・オンデマンド講義と対面講義との切り替えによる負担増と、コロナ感染防止対策に伴う通常業務の負担増により、研究時間を十分確保できなかった。また学会の開催延期や出張の自粛などもあり国内外の関連研究者との交流機会をほとんどとれなかった。 産業レベルでの生産性と賃金に関する分析は概ね終了している。企業レベルでの生産性や投資停滞に関する分析は、データの分析作業を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
保有する企業データを活用して、日本経済の過少投資の度合いを計測と、投資停滞の要因に関する推計を進めていく。またコロナ禍での生産性と投資停滞に関する新たな議論について文献を調査するとともに、研究分担者と打ち合わせを行い、得られた知見を共有する。分析結果は、適宜、ワーキングペーパーとしてまとめ、関連学会や研究会で報告を行う。そこからのフィードバックを通じて分析の精緻化を行う予定である。最終的に、専門学術誌へ投稿し、公刊を目指す。
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