研究課題/領域番号 |
20K01682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
工藤 健 長崎大学, 経済学部, 准教授 (70404316)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 財政の持続可能性 / 政府債務の利払い / 超低金利政策 / 課税平準化 / 金融政策 / フォワード・ガイダンス / 財政政策 / 為替介入 / アナウンスメント効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,政策当局が発信するプレスリリースなどのテキスト情報を,金融市場データなどと組み合わせて分析することで,政策担当者と市場とのコミュニケーションが政策効果にもたらす影響を明らかにすることである。本研究では,申請者が展開してきた最適金融政策および財政政策ルールに関する研究に,金融政策決定会合や財政演説などの政策当局の発信するテキスト情報をテキストマイニングなどの手法で解析して,実証分析に変数として組み込み,マクロ・ファイナンスの観点から政策効果への影響の検証を行う。これにより,経済政策における期待とコミュニケーションの役割に関する理解を深めることが期待できる。
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研究実績の概要 |
近年の低金利政策との関連から、政府債務の利払い負担を考慮して財政の持続可能性に関する分析を実施した結果、(1)全期間およびいずれのサブサンプル期間でも日本の財政赤字は持続不可能であるという結果が得られた。政府債務残高以外の要因を調整してさらに詳しく分析すると,第2次世界大戦終戦前の期間では1930年代以降,第2次世界大戦後の期間では1990年代後半以降に,日本財政が持続可能な経路から遠ざかっていることがわかった。(2)1970年以降のデータについて政府の粗債務残高を純債務残高に代えても,推定結果はほぼ同様になることがわかった。本稿の分析からは,政府債務残高が粗債務残高であろうと純債務残高であろうと,日本の財政赤字は持続不可能であるという結果が頑健な形で得られたといえる。(3)政府債務の利払い負担が軽減されると基礎的財政収支の赤字を拡大させる余地が生じることが明らかになった。つまり,1990年代後半以降の超低金利政策などの金融緩和は,政府債務の利払い負担を軽くして,ほかの時期より積極的な財政政策を可能にしていたといえる。したがって,Krugman(2020)らが主張するように,政府債務が累積している中でも短期的に財政支出をする余地はあるといえる。この結果から、金融政策の変化が財政状況におよぼす影響が確認できる。したがって、将来の金融政策の変化を予測させるようなアナウンスがあると、金融市場の変化を通じて財政政策の持続可能性にも影響をおよぼすことが推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
財政の持続可能性に関する分析はある程度進めているものの、使用するデータ選定の難航もあり、金融政策および為替政策のアナウンスメント効果に関する分析が十分に進められていないことから「遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
財務省の国債金利情報や日経NEEDSの債券市場データを、過去の新聞記事データベースなどを照合しながら、金融政策に関する情報の変化と財政状況の相互作用を抽出していく。また、財務省の外国為替平衡操作状況およびマクロ金融データを、日本銀行の金融政策決定会合などの政策意思決定アナウンスメントや新聞記事データベースと照合することで、為替政策に関するアナウンスメント効果の検証を図る。
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