研究課題/領域番号 |
20K01690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
林 光洋 中央大学, 経済学部, 教授 (80367672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アジア途上諸国 / 地域間所得格差 / 都市・農村間所得格差 / 地域内所得格差 / 教育の地域内・地域間所得格差への影響 / 教育の地域格差 / 空間的所得格差 / 格差の要因分解 |
研究開始時の研究の概要 |
アジア途上諸国の中からインド、フィリピン、インドネシアを選び、それら3か国を対象にして、全国規模で時系列の家計調査原データにもとづき、空間的な所得格差の大きさや変化を、タイル指標等を用いて、都市・農村、州、地域ブロック等の地域で要因分解し、地域内格差および地域間格差の説明力を明らかにする。Fields(2003)の回帰分析やBlinder-Oaxaca分解手法も用いて、世帯特性で要因分解し、地域内、地域間の格差やその変化に対する教育、年齢、ジェンダー、所得源泉、階層等の影響を分析する。動態的な要因分解手法やElbersの手法を使用するところまで発展させ、3か国の比較分析までを行なう。
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研究実績の概要 |
2023年度は、中国の所得格差を空間的側面から分析する研究を開始した。西南財経大学が実施し、中国29省の都市部と農村部の約3万5,000世帯を調査対象にしたChina Household Finance Survey(CHFS)の2時点のデータを入手し、整理した。全国の省別、都市・農村別の最低生活保障額を用いて、時間の経過による物価変動の影響に加えて、地域間の物価水準の差も調整して、名目の所得(消費支出)を実質化した。そのデータを、「加法に分解可能」な特性を有するタイル尺度Tを用いて、地域内格差と地域間格差に分解し、それぞれがどの程度の格差の水準で、中国全体の格差をどの程度説明するのか、2時点間でどのように変化しているのかを計測した。通常のタイル尺度Tに加えて、Elbersの手法(maximum between-group inequality)を用いて地域間格差(between-group inequality)の説明力も計算した。今後、Blinder-Oaxacaの要因分解手法を用いて教育、年齢、ジェンダー、職業等の世帯特性の地域間格差への影響を計算し、論文にまとめる予定である。 格差の先進的な要因分解手法を研究した、Springer社刊のAkita・KataokaのRegional Inequality and Development: Measurement and Applications in Indonesiaを読み、国際開発学会の学会誌『国際開発研究』に同書の書評を投稿し掲載された。 2023年度は、フィリピンで2週間の現地調査を実施し、同国の地域間格差を観察した。ガーナでも現地調査を行ない、空間的な格差の実態を観察するとともに、ガーナ統計局(GSS)から家計データを入手した。アジア途上諸国と同様のスタイルの分析を行ない、将来的には比較分析を実施したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度の2020年度から2022年度にかけての3年間、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて、当初計画したスケジュール通りに進まなかった。4年目になった2023年度になっても、その遅れを取り戻すことができていない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
CHFSの1人当たり実質所得(消費支出)データを、タイル尺度Tを用いて、地域内格差と地域間格差に分解し、それぞれがどの程度の格差の水準で、中国全体の格差をどの程度説明するのか、2時点間でどのように変化しているのかについて、また、Elbersの手法(maximum between-group inequality)を用いて地域間格差(between-group inequality)の説明力についてすでに計算しているので、それらに加えて、Blinder-Oaxacaの要因分解手法を用いて教育、年齢、ジェンダー、職業等の世帯特性の地域間格差への影響を計算し、それらの分析結果を論文にまとめて発表したい。時間が許せば、ガーナ統計局(GSS)から入手した家計データ、Ghana Living Standards Survey(GLSS)を使い、アジア途上諸国と同様のスタイルの分析を行ないたい。将来的には、サブサハラ・アフリカ地域のガーナとアジア途上諸国(インドネシア、フィリピン、インド、中国)間の比較分析を実施したい。
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