研究課題/領域番号 |
20K01717
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
|
研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
中田 大悟 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (10415870)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 金融リテラシー / リスク資産保有 / 新型コロナ感染症 / 時間選好 / 危険選好 / 認知能力 / ワクチン / リスク認知 / 移動 / 旅行 / Covid-19 / GoToキャンペーン / financial literacy / cognitive ability / household saving / wealth accumulation / labour supply |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、家計の金融リテラシーや認知能力の差異が、貯蓄行動と就業行動を、どのように規定しているのかという問題について、ライフサイクルモデルのシミュレーション分析とミクロ計量経済分析で明らかにする。特に、我が国特有の政策事情に則り、家計の税・社会保障制度に関する態度や知識、自身の家庭生活や仕事、コミュニティや経済全般に対する将来不安、家計の主観的認識と認知能力の相互関係、に着目した分析を行う。
|
研究実績の概要 |
本科研費研究においては、家計の金融リテラシーや認知能力の差異が、家計の経済行動をどのように規定しているのかという問題について、ミクロ計量経済分析で明らかにすることを目的としている。
2023年度においては、前年度から継続している研究テーマとして、資産保有経歴としてリスク性資産を保有したことがある家計が新型コロナ危機の初期段階においてどのような感染回避行動を行ったのか、という分析の改訂を行った。これは、関西のある自治体で2017年から2年ごとに実施している健診パネル調査を用いた傾向スコア逆確率重み付き推計であるが、教育水準や健康状態、家族属性などをコントロールしたうえで、リスク金融資産保有歴が長い人は新型コロナ危機においてリスク選好をより敏感に変化させており、その結果、緊急事態宣言の発出、終了に合わせて感染予防行動にメリハリをつける傾向が強く、特に現役世代 のリスク資産保有者はマスク着用からの忌避が、老年世代のリスク資産保有者においては複数回外食行動への回帰が有意に見られたことを示している。この論文については、現在、しかるべき学術雑誌への投稿準備に入っており、早期の公刊を目指している。
また、本テーマの補完的な研究として、新型コロナパンデミック危機において、政府がどのような補助金政策や減税政策を行い、どのようなインセンティブ付与を行ったのかという点について、国内外の主要政策を概観し、またそれらに対して経済学者がどのような実証分析を行っているのかを広範にサーベイする論文を執筆、公刊した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では、本年度は、別のデータセットを用いた家計の金融リテラシーと将来不安がリスク資産の保有比率に与える影響や資産蓄積行動、 特に無資産世帯の属性の決定要因の実証研究と、中高齢者の金融リテラシーが年金受給の繰り上げ、繰り下げ受給に与える影響に関する実証分析の改訂作業を進める予定であったが、これに十分に着手できなかった。これは、本研究とは異なるマクロ経済分析の研究実施に想定外の時間がかかってしまったことが一因ではあるが、次年度においては、本研究の残りのテーマを中心に研究を進め、遅れをリカバーする予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
前述の通り、次年度は家計の金融リテラシーと将来不安がリスク資産の保有比率や資産蓄積行動に与える影響、無資産世帯の属性の決定要因の分析、中高齢者の金融リテラシーが年金受給の繰り上げ、繰り下げ受給に与える影響に関する実証研究を中心に研究を進め、遅れを取り戻す予定である。
|