研究課題/領域番号 |
20K01720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
林 亮輔 甲南大学, 経済学部, 教授 (50634987)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 医療需要 / 公立病院 / 医療圏 |
研究開始時の研究の概要 |
令和2年度は医療需要の決定要因分析を行い、受療率等を予測する実証モデルを開発する。令和3年度は病院の選択基準を明らかにし、受療行動に基づいた受療圏を設定する。令和4年度は令和2年度から令和3年度の研究成果に基づき、医療需要を予測し、地域医療に関する政策インプリケーションを提示する。このプロセスを通じて、最終的に将来予測の結果を地図上に示すことで、医療需給ギャップが発生する地域と時期の可視化を可能にする。
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研究実績の概要 |
本研究は、①地域特性等の外的要因や医療の供給要因が需要に影響する可能性や、在院日数の短縮や受療率の低下など近年のトレンドを勘案した医療需要に関する実証モデルを開発し、②患者の受療行動に基づいた受療圏を導出することで、医療政策に資する将来予測を行うことを目的としている。 研究3年目となる令和4年度は、精度の高い医療需要予測モデルを構築するには、病院へのアクセシビリティや複数の病院との競合関係といった患者の受療行動を考慮した上で受療圏(当該病院で受療する患者が住む地理的範囲)を設定しなければならないという問題意識のもと、病院への入院に焦点を当て、①病院へのアクセシビリティを考慮した受療圏の特定化、②どのような基準で受療する病院を選択しているかという受療行動に基づいた「病院の魅力度」の測定、③「病院までの距離」と「病院の魅力度」によって構成されるハフモデルを用いた来院確率の推計について検討を重ね、医療需要予測モデルを構築した。 さらに、構築したモデルを鹿児島市立病院に適用し、モデルの精度を検証した結果、さらに精度を高める余地が残されているものの、①性別・年齢階級別に分けて医療需要予測を行うこと、②来院確率を決定づける「病院の魅力度」に受療行動を踏まえた総合指標を用いること、③受療圏に来院確率を適用することで、医療需要予測の精度を高められることが明らかになった。 本研究で構築したモデルは、病院間における魅力度の相対的な関係が変化することで、病院への来院確率が変化し、病院の医療需要が変化するという仕組みになっている。したがって、本モデルを用いて医療需要予測を行えば、人口の増減や年齢構成の変化といった側面だけでなく、医師数や診療科目数の増減といった医療提供体制の変更による医療需要への影響についても把握できることから、病院の方向性を検討する上で重要な情報源となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、令和3年度に病院の選択基準を明らかにした上で受療行動に基づいた受療圏を設定し、令和4年度に医療需要を予測し地域医療に関する政策インプリケーションを提示する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた国内外における事例研究の調査の中止を余儀なくされたこと、本研究の対象である公立病院に対して迷惑をかけるわけにはいかないことから、令和2年度時点で当初の計画よりも遅れが生じていた。 令和4年度は令和3年度に予定していた計画のうち、①距離以外の選択基準(医師や看護師が親切である、専門性の高い医療を提供している、建物がきれい・設備が整っている等)を踏まえて病院同士の競合関係について検証し、②GISを用いて各地域メッシュから病院までの時間距離を計測し、③各病院の受療圏(入院)を地域メッシュ単位で設定するという令和3年度の計画を実行した。 令和4年度において研究は進捗したものの、当初予定していた令和4年度の研究計画の、①設定した受療圏にしたがい、構築した医療需要モデルを用いて、受療圏における受療率・在院日数の将来予測を行う。②これらの予測値ならびに将来推計人口から、受療圏ごとの医療需要を予測する。以上の方法によって得られた医療需要の将来予測に基づいて、③地域医療政策に関するインプリケーションを提示するといった作業が完了しておらず、依然として研究計画からやや遅れた状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、①令和4年度に設定した受療圏にしたがい、 令和3年度に構築した医療需要モデルを用いて、受療圏における受療率・在院日数の将来予測を行う。②これらの予測値ならびに将来推計人口から、受療圏ごとの医療需要を予測する。以上の方法によって得られた医療需要の将来予測に基づいて、③地域医療政策に関するインプリケーションを提示する予定である。また、令和4年度の研究成果については、学会・研究会・ワークショップ等で報告するとともに、学術雑誌に投稿する。
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