研究課題/領域番号 |
20K01721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 絢子 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20551055)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 保育 / 女性労働 / 労働供給 / 人的資本投資 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、(1)保育所需要の価格弾力性および保育料の女性労働供給への影響、(2)保育所 利用可能性が母親の所得に与える影響、(3) 保育料負担が子供への人的資本投資に与える影 響を検証する。保育料の変化の影響の識別には、認可保育所の保育料が住民税所得割額に対応して階段状に増えていくことを利用し、保育料が高くなる直前と直後にいる世帯を比較する回帰不連続法を用いる。保育の利用可能性の影響については、国民生活基礎調査や21世紀出生児縦断調査などの政府統計の個票を活用し、自治体ごとの保育所の定員充足率などを操作変数として用いることで、女性の所得や子供の発達にあたえる因果効果を検証する。
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研究実績の概要 |
本課題全体の計画として、(1)保育所需要の価格弾力性および保育料の女性労働供給への影響、(2)保育所利用可能性が母親の所得に与える影響、(3) 保育料負担が子供への人的資本投資に与える影響 の3つについて分析を行う予定であったが、2023年度も前年度に引き続き(2)に注力し、分析を進め論文の執筆をした。 (2)に関し、最新の推定手法に切り替え分析を精緻化した結果、育児休業から復帰するタイミングのフルタイム共働き家庭が認可保育所の選考に落ちた場合、0歳児の場合は約4割の母親が該当年は就業していないが、その半数程度は育児休業を延長し翌年再度保育所に応募し就業再開していること、1歳児の場合は就業を断念するのは2割程度にとどまる、などの結果を得た。こうした結果をとりまとめてセミナーなどで報告し、3月にはディスカッションペーパーとして公表した。 来年度は査読誌への掲載を目指して投稿・査読コメントへの対応を進めていく。本研究は、我が国において保育所の整備が既婚女性の就業継続に及ぼす影響についてのエビデンスとして重要な意義があると考える。 また、(3)についてデータの入手に困難があることから、別のアプローチを模索し、出産と就業継続の関係について、Child Penaltyの文脈にそって、(2)で用いたのとは異なる住民税課税データを用いた分析を進める準備を始め、分析を進めている。現時点では出産前後の収入の変化は欧米諸国とそれほど乖離していないという暫定結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書時点での令和5年度の研究計画:(1) 査読結果に基づき修正を行い、年度内に公表することを目指す。(2)(3)引き続き学会での報告と改稿を重ね、年度内に査読誌 への投稿を目指す。 と比較し、(1)についてはすでに公刊済であり計画以上に進捗している一方、(3)は昨年度の実績報告書に記載の通りデータの入手が困難であることから難航しているが、(2)はおおむね計画通りディスカッションペーパーを完成させ査読誌に投稿するところである。平均すると「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
(2) について、査読誌へ投稿し、査読コメントに対応し採択を目指す。(3)についてはデータ入手が困難であることから方針を転換し、出産と就業継続の関係についてChild Penaltyの文脈からアプローチする。
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