研究課題/領域番号 |
20K01728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
石田 三成 東洋大学, 経済学部, 准教授 (40571477)
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研究分担者 |
米岡 秀眞 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (20825301)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 汚職 / 不正行為 / 公務員 / ジェンダー / 警察 / 効率性 / 職員 / 給与 / 不祥事 / 地方公務員 / 地方自治体 / 効率賃金仮説 / 給与減額措置 / 公務員給与 / ガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
効率賃金仮説にもとづけば、公務員の賃金水準が高ければ汚職は減ると予想されている。実際、国内外の定量分析でも、賃金水準を引き上げると汚職が減少するという結果が得られている。 しかし、わが国の地方公務員の汚職事件数の推移を見ると、平成前半では賃金水準が上昇したにも関わらず汚職事件数は増加し、直近の10年間では賃金水準が下落しているのに汚職事件数は減少している。 時系列で見たときに理論モデルや既存の実証分析とは異なる現象が観察されるのはなぜだろうか。この点を解明するため、本研究では、賃金だけでなく自治体のガバナンスの強化策にも着目して汚職の要因を定量的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、我が国の地方公務員を対象として汚職が発生する(汚職を抑制する)要因を定量的に明らかにすることである。具体的には、(1)地方公務員の賃金水準を引き下げると汚職は増加するか、(2)ガバナンスの強化(監査制度、情報公開制度など)や、人事政策(採用政策など)によって汚職を抑制できるか、の二点である。 今年度は、(2)に属する研究として、日本の地方自治体を分析対象に女性首長の誕生や女性議員の増加など女性の政治参加が促進されることで、汚職が減少するかを検証した。実証分析の結果から、①女性首長の誕生によって、汚職事件が減少し、地方自治体の腐敗が抑制される、②女性議員比率の上昇によって、汚職事件が減少し、地方自治体の腐敗が抑制される、以上の2点が明らかとなった。 これまで、日本では、特に政治分野での男女間格差の是正が遅れてきたということもあり、公平性の観点から議論が盛んに行われてきた。本研究の実証分析の結果を踏まえると、政治分野における男女間格差の是正は、社会の資源配分を歪める汚職を減少させ、政府の腐敗を抑止するという効果があると捉えることができる。実証分析の結果の政策的な含意としては、主に公平性の観点から推進されてきた男女間格差の是正が、効率性の観点からみても望ましいものであり、全国民が恩恵を受ける政策である、という論拠のひとつにすることができるであろう。日本の男女間格差の是正すべき点は、諸外国と比較すればまだまだ存在すると考えられるが、こうしたことを論拠とし、広く認知されることによって、今後の日本における男女間格差の是正をより加速していくべきである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、我々の研究計画では、(1)地方公務員の賃金水準を引き下げると汚職は増加するか、(2)ガバナンスの強化(監査制度、情報公開制度など)や、人事政策(採用政策など)によって汚職を抑制できるか、の二点を明らかにすることを目的としてきた。 今年度は(2)の研究の一環としてジェンダーと汚職について研究を行ってきたが、採用や登用における男女間格差の是正は、人事政策のごく一部であり、より多面的な分析が必要であるものの、我々はまだその部分に関する研究に着手できていない。 また、(1)の研究についても、昨年度までに一定の研究成果(国内査読誌)を出したものの、より精緻な分析手法を行って海外査読誌へ投稿することを目指していたが、データ分析に手間取っている。 以上の理由により「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(2)に関する研究については、監査制度などの情報は入手しているので、今後、先行研究を渉猟したうえで実証分析に入る予定である。 なお、2023年度中に一段落させたジェンダーと汚職に関する実証研究については、最新の研究動向を踏まえ、現在の論文をさらに改善させていくつもりである。具体的には、女性首長のリーダーシップや、汚職を抑止するメカニズムについて今後、実証分析を行う予定である。 (1)に関する分析については、3月時点で実証分析にめどが立ち、3月末時点で英語で論文を執筆するまでに至った。4月から5月にかけて論文校閲を終え、6月を目途にディスカッションペーパーなどで公表し、2024年度中に査読誌への掲載を目指す。
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