研究課題/領域番号 |
20K01736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川浦 昭彦 同志社大学, 政策学部, 教授 (10271610)
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研究分担者 |
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50400073)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 地方議会 / 議員 / 選挙 / 発言 / 得票率 / 議会議事録 / 首長 / 政策決定過程 |
研究開始時の研究の概要 |
政令指定都市・中核市などのデータを利用して公的意思決定を考察するこの研究の意義は、従来の研究において分析対象とされて来た意思決定の「結果」に加えて、新たにその「過程」をも研究に織り込むことである。これにより、意思決定の結果に着目した従来の実証分析から得られていた知見をも再検証することが可能になる。さらに、従来活用されてこなかった議事録データを分析に織り込むことにより実証研究の蓄積に資することで、公共選択という学問分野の発展に寄与する。
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研究実績の概要 |
地方自治体の公的意思決定の過程を研究テーマとして、都道府県・市議会での議員の行動とそれが選挙結果にもたらす影響を分析した。公共選択の理論から導き出される仮説を実際のデータで検証することが目的であるため、議員の立法過程への参加の指標とするために議会議事録に記録される各議員の発言文字数データを算出した。この過程では機械学習の機能を備えたプログラムを活用した。この発言文字数データを当選回数・年齢・所属会派・性別・議長職務の有無などの各議員の属性データと組み合わせ、議員が再選を目指した場合の次期選挙での得票に、議会での発言が影響を与えるか否かを検証した。 分析は都道府県議会議員選挙と北海道小樽市の市議会議員選挙について実施した。前者については1995年4月の統一地方選挙を同一日程で行った41道府県を対象として、議員の立法過程への参加を反映する発言文字数の変数は、次期選挙での当選に統計的に有意かつプラスの影響を与えることが確認された。つまり、議員にとっては議会審議に参加することは再選にとって有利であるとの仮説は支持された。この研究成果をまとめた論文は査読付き英文学術雑誌Constitutional Political Economy で採録が決定している。 小樽市市議会議員選挙については、2000年以降の5回の市議会選挙での得票率を被説明変数として、その決定要因についてのパネルデータ回帰分析を行った。ここでも、議員にとっては議会審議に参加することは再選にとって有利であるとの仮説を検証することができた。また、この効果は4年間の議員任期全体で分析した場合よりも、任期後半について分析した場合に影響がより強くなる。選挙に近い時期に議会審議に参加することが再選には重要なことである。この研究成果をまとめた論文は査読付き学術雑誌への投稿準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では多数の「市」を対象に議事録を収集し分析を行う予定であったが、コロナ禍で出張が依然として困難であり、複数の地方議会の詳細を聞き取り調査により調べることが困難であった。そこで、研究手法の確立を主眼に、研究分担者が在住の北海道小樽市の市議会を研究対象として分析を進めて来た。議事録が利用可能な期間すべてを網羅する時系列データを整備することができたため、議員に関する横断面データと組み合わせてパネル・データとして分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は出張が実施できることを前提にすれば、小樽市議会議員についての研究で確立したパネル分析手法を適用できる市議会について、議事録データの収集を開始できるものと考えられる。それの対象となる市議会を確定し、今後それらの地方議会を網羅的に分析するための予備的なデータ収集を始めたいと考えている。
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