研究課題/領域番号 |
20K01737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
仲林 真子 近畿大学, 経済学部, 教授 (90309344)
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研究分担者 |
山根 承子 大阪大学, 大学院経済学研究科, 招へい研究員 (40633798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 自然実験 / 教育の効果 / 学校群制度 / 校風 / 校訓 / トラッキング / 校風、校則 / 教育の経済効果 / ランダム化比較実験 |
研究開始時の研究の概要 |
学校教育の成果を測定するのは容易ではないが、海外におけるいくつかの研究は、ランダムネスを取り入れた政策をうまく利用したり、ランダム化比較実験(RCT)を用いるなどして教育効果を測定している。本研究では1970年頃から日本の東海地域で行われていた、進学先がランダムに決定されるという「学校群制度」を利用する。学校群制度の下では、同じ群に属するA校とB校の新入生は同一の能力を持っていると考えられる。したがって卒業時のパフォーマンスの違いは、在学した学校の純粋な教育効果であるといえる。本研究では特に、校風や校則などの目に見えにくい教育の効果について分析する。
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研究実績の概要 |
本研究では1970年頃から日本の東海地域で行われていた、進学先がランダムに決定されるという「学校群制度」を利用して学校教育の成果を測定している。学校群制度のもとでは、受験生は個々の高校を受験するのではなく、A校とB校がペアになった「学校群」を受験し合否が決まる。その後、ランダムにA校かB校に進学先を振り分けられることになる。その結果、ほぼ同程度の成績の生徒が歴史や校風、校則が全く異なる2校で、それぞれ3年間教育を受け、大学等へ進学することになる。このような学業成績に差がない2つの高校を作為的に作り出すことはほぼ不可能なため、先行研究では学業成績以外の違い(教育の質の違い)によって生じる教育効果の違いについて分析することはできなかった。本研究では、当時の資料を入手することによって、これまで海外を含めた先行研究では明らかにされることがなかった、入学以前の教育によって生じた成績の差を排除した状況で、高校3年間の教育が卒業時の成果にどのような影響を与えるのかについて分析することが可能になった。卒業時のパフォーマンスの違いは、在学した学校の純粋な教育内容、教育効果の違いであるといえる。学校群制度は、通常内生的に決定される学校選びが外生的に行われた希少な例で、自然実験の事例である。本研究では特に、校風や校則などの目に見えにくい教育の効果について分析し、2つの高校の卒業後のパフォーマンスには明らかに違いがあり、校風や校則、歴史などが、学習成果に影響を与えることを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症パンデミックの直前に、愛知県の豊橋学校群を組んでいた2つの高校に出向き、開校当時からの年報や広報誌を調査し、年度ごとの進学先、身体測定の結果、出身中学校、図書館蔵書等のデータを得ていた。その後新型コロナウィルス感染症の影響で令和2年度は調査に行くことができず、令和3年度も資料収集に行くことができたのは1回のみ、令和4年度も2回のみであった。本来であれば当初の計画通り、令和3年度および令和4年度に調査対象となる高校を拡大して、さらに多くのデータと資料の収集を進める予定であったが、やむを得ず小規模のデータをまとめ分析し、研究会等で報告した。その結果、両校の校風、校則の違いが大学進学に影響を与えていることを確認できた。延長期間の令和5年度にここまでの研究成果を"The Influence of Education on Preference :A Natural Experiment by the School Grouping policy"(Discussion Papers in Economics and Business ,24-02,February 2024,Graduate School of Economics, Osaka University)としてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間は新型コロナウィルス感染症の流行が拡大した3年間と完全に重なっており、その影響で予定していた資料収集やインタビューに出向くことができず、当初の予定より2年遅れているが、研究期間延長を認めていただいた令和5年度は、令和2年度~4年度に実施できなかった調査に出向き、不足している資料を収集し、研究成果をディスカッションペーパー"The Influence of Education on Preference :A Natural Experiment by the School Grouping policy"(Discussion Papers in Economics and Business ,24-02,February 2024,Graduate School of Economics, Osaka University)としてまとめた。研究期間の再延長を認めていただいた令和6年度は上記論文を学術雑誌に投稿し、学会等で研究成果を発表する予定である。
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