研究課題/領域番号 |
20K01742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
西出 勝正 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40410683)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 金融市場分析 / 高度金融技術 / マーケット・マイクロストラクチャー / 高頻度取引 / ディレクショナル取引 / マーケットメイク取引 / 金融市場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,金融市場における高頻度取引の発展が市場の質,特に市場参加者の厚生に与える影響を考察するものである.既存研究では理論研究と実証研究の間に 1. 理論研究では市場参加者の厚生を期待利得などで定義することで高頻度取引が与える影響の分析が進んできている 2. 実証研究では市場参加者の利潤や効用を観察できないため,高頻度取引が市場参加者に与える影響を評価できない という齟齬がある点を考慮し,市場参加者の厚生が測定可能となる理論モデルを構築し,実証分析と金融規制に応用することを最終目標とする.
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研究成果の概要 |
本研究では,FinTechに代表される昨今の金融技術の発展が市場参加者の厚生や価格の情報効率性にどのような影響を与えるのかを分析するために理論モデルを構築した.特に,既存の理論研究と実証研究で高頻度取引などの最新の金融技術に対する評価が異なる点に着目し,2つの結果の解釈をつなぐことができる理論結果を導出することで新しい知見や金融規制に対する示唆を与えることを目指した.そのためにマーケット・マイクロストラクチャーと呼ばれる分野の理論や手法を用いて,市場制度や参加者の特性を明示的にモデル上で表現することで上記目的を満たす理論結果を導出できた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
構築された理論モデルを用いて,高頻度取引に代表される高度金融技術が市場に対して必ずしも悪影響を与えるものではないことを示すことができた.この結果は,従来の理論研究で指摘されている負の効果と異なる全く新しい結果であり,かつ実証研究の結果を支持する点で,学術的に高い意義があると言える.特に,高度金融技術を持つ投資家の戦略的行動の結果として市場流動性を供給するとの知見は興味深いものである.また,金融行政に対しても,単純な規制の強化が必ずしも最適であるとは言えないとの示唆を与えるものである.
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