研究課題/領域番号 |
20K01747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
式見 雅代 (富山雅代) 長崎大学, 経済学部, 教授 (30313456)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 銀行間競争 / 金融政策 / 銀行貸出 / リスクテイキング / リスクテイク経路 / マイナス金利 / 地域経済 / 地域金融機関 / 企業金融 |
研究開始時の研究の概要 |
世界金融危機以降、世界的に低金利政策が実施されてきた。しかし、日欧諸国では、成長率の伸びは鈍く、政策の有効性が疑問視される。なぜ低金利政策が機能しないのかについて、先行研究からは、借入企業の異質性に着目した分析が進められつつあるが、貸出市場の競争要因に着目した研究は少ない。本研究では、異次元の低金利政策が銀行の貸出行動や地域経済に与える影響について実証分析することにより、政策効果の地域特性に基づく異質性について考察する。本研究より、金融政策の波及効果に地域格差が発見できれば、政策の効果が限定的である一因を示すことになり、適切な調整を促す判断材料となりうる。
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研究実績の概要 |
本研究は、異次元の低金利政策が銀行の貸出行動や地域経済に与える影響について、実証分析することにより、政策効果の地域特性に基づく異質性について考察することを目的とする。 具体的には、以下の3の研究を実施する。 【研究1】低金利政策下における銀行の貸出行動が、地域貸出市場の競争条件によって異なるかについての分析 【研究2】低金利政策下における銀行の貸出行動が地域の開業率に与える効果に関する研究 【研究3】地域金融機関のリスクテイク行動と経営の安定性 研究1については、研究成果が査読付き国際雑誌に掲載された。1999年度~2019年度の企業・銀行のローンデータを用いた分析から、低金利政策下で銀行のリスクテイク行動が見られ、競争力の低い銀行でその傾向がみられることが判明した。 研究2については、新型コロナ発生以降、企業の開廃業を取り巻く環境が大きく変化した。そのため、コロナ以前に講じられた金融政策がその後の企業の開廃業に与える効果を検証するのが困難な状況となり、当初計画の修正が必要となっている。研究3についても同様で、中央銀行による新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペやゼロゼロ融資により、マイナス金利政策が銀行の収益性や経営の安定性に与える効果にも大きな変化が生じたため、分析の見直しを行っている。コロナ対応オペでは、金融機関に対し、貸出を増やした分、マイナス金利の適用を回避できるというインセンティブが付与された。こうした政策が銀行の貸出行動に与えた影響について分析を進め、学会報告した。さらに、コロナ前後の貸出行動と銀行の経営の安定性について、考察を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、(2)、(3)については分析の見直し、修正を行っていることから、当初計画案によりも遅れている。他方、(1)についてはすでに研究成果が出、査読付き国際学術誌に論文が掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。 第一に、現在執筆中の論文については、ブラッシュアップして査読付き国際学術雑誌に掲載されることを目指す。 第二に、上述(3)の研究課題について、COVID-19 という外生的なショックを利用し、マイナス金利下でリスクテイク行動を行っていた銀行の経営の安定性と貸出行動についてさらに分析を深める。分析対象は、地域に基盤を置く金融機関とし、分析期間をコロナ後まで含めた期間とする。分析結果が出次第、論文にまとめ国内外の学会にて報告するとともに、国際学術雑誌に論文投稿する。
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