研究課題/領域番号 |
20K01752
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
海蔵寺 大成 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10265960)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 投機的バブル / バブル崩壊 / 群集心理バイアス / 外挿性バイアス / 確証性バイアス / 自由エネルギー原理 / 統計力学 / 認知的ノイズ / 確率的効用理論 / 相転移 / イジング・スピンモデル / マクロテイルリスク / イジングモデル / バブル / 相転移としてのバブル / 株式市場の粒状仮説 / マクロテイル・リスク / 経済物理学 / ファイナンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、株式市場におけるマクロテイルリスクに着目して、株式市場の暴落の 原因を説明する理論モデルとともに、暴落の規模を事前に予測する計量モデルを構築する。 この研究の重要性は、株式時価総額上位の企業に対するミクロ的ショックが、どの程度の株式市場の暴落を引き起こし得るかを事前に予測することで、その後の経済後退に備えることが可能になることである。
|
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までに構築した投機的バブルとバブル崩壊の数学モデルと最近の認知科学、神経科学との関係を考察した。 人間の群集心理や集団行動は、社会心理学や認知科学の分野で古くから研究されてきた。人間を含め「群れ」を作って行動する動物は、他者の行動を模倣しようとする性質を持っていることがわかっており、こうした行動は社会的適応(Social conformity)と呼ばれている。より最近になって社会的適応のメカニズムを神経科学的に解明しようとする学問分野が生まれ(social neuroscience)、脳内に他者の行動を模倣する働きをするニューラル・ネットワークが存在することがわかってきている。本研究において、投機家の意思決定は3つのファクターに依存して行われる。群集心理バイアス( Herding mentality bias)、外挿性バイアス(extrapolation bias)、確証性バイアス(confirmation bias)である。これらのファクターは理論的にバブルを生み出し、バブルが崩壊するために必要不可欠なファクターである。これら3つの心理的なバイアスは、最近の神経科学的実験で脳科学的なメカニズムが解明されつつあり、おおくの臨床実験が行われている。本年の研究では、これらの研究をサーベイし、数学モデルとの関係を深く考察した。また、最近の脳科学の理論研究として、Fristonらの研究グループが、脳の推論アルゴリズムを統計力学の基本原理である「自由エネルギー原理」によって統一的に説明しようとする理論を提案し、精力的に研究が行われている。本年度の研究では、投機的バブルのモデルの投機家の意思決定のプロセスとFristonらの「自由エネルギー原理」の関係を考察した。投機的バブルは、こうした人間の生物学的な特質が作り出した集団現象であることが理論的に明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、投機的バブルとバブル崩壊を理論的に説明するモデルを構築した。理論モデルは予定通り完成し、学術書として出版するために、原稿の執筆に取り掛かっている。本年度は特に、数学モデルと最近の認知科学、神経科学の治験の関係を深く考察し、人間の意思決定を科学的な治験を基に考察した。2023年6月にスロベニアで行われた国際会議WEHIA2023 で、本研究の内容を報告することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度(最終年度)は、これまでの研究で構築した投機的バブルとバブル崩壊の理論はほぼ完成しているので、これらの成果を学術書として出版することを目標にする。 開発した理論は、学術書および論文として出版するとともに、ホームページなどを通じて広く一般に利用してもらえるように公開する予定である。
|