研究課題/領域番号 |
20K01767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
廣瀬 純夫 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (60377611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 流動性資産保有 / フリーキャッシュフロー仮設 / エントレンチメント / スチュワードシップ・コード / コーポレートガバナンス・コード / 機関投資家 / 株主還元 / フリーキャッシュフロー仮説 / コーポレート・ガバナンスコード / 資金制約 / メインバンク / 利益還元 / 社外取締役 / 資金制約リスク / 自社株買い / 株式持合い / 新型コロナウィルス感染拡大 / 内部留保 / モラル・ハザード / コーポレート・ガバナンス / フリーキャッシュフロー / 金融制度改革 |
研究開始時の研究の概要 |
内部留保の蓄積には,資金制約への保険的役割として肯定的な側面と,経営者のエントレンチメント(保身)を助長する否定的な側面が従来から指摘されている.本研究では,まず,この2つの仮説が,2000年代以降の日本企業の内部留保拡大に,どの程度の説明力を有するかを実証的に検証する.その上で,この2つの仮説以外の影響要因として,金融市場の制度環境変化が内部留保を拡大させた可能性を検証する.保険的役割に影響を及ぼした制度変化は,銀行との取引関係の変化である.エントレンチメントを助長した制度変化としては,会社法施行によって敵対的買収の脅威が顕在化した結果,株式持合が復活して安定株主工作が進んだ点に着目する.
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研究成果の概要 |
本研究では,企業の流動性資産保有の動機として,資金制約への保険的役割として肯定的な側面と,フリーキャッシュフロー仮説に由来する経営者のエントレンチメントを助長する否定的な側面の双方について,実証的に検証した.資金制約への保険的役割については,メインバンクとの取引が希薄な場合,資金制約に直面した際に銀行に頼ることができないことから,自ら流動性資産を保有することで備えている可能性を確認した.経営者のエントレンチメントの助長については,株主還元率が高く,利益還元圧力が高い企業ほど,流動性資産保有が少なくなる傾向を確認し,外部投資家からの圧力が働けば過剰な流動性資産保有が抑制されることを明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2000年代後半以降,日本企業が内部留保の蓄積を拡大し続け,投資に消極的なことに,社会的に強い批判がある.そこで本研究では,2000年代以降の現金等資産(以下,流動性資産とする)保有行動に着目し,金融市場に関する制度環境の変化が,流動性資産保有行動に与えた影響を検証した.現行の制度要因が,内部留保拡大を促している可能性を確認できれば,制度を改善することで,流動性資産保有の必要性が低くなって実物投資を行う余力が増え,資源を有効活用することにつながる.
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