研究課題/領域番号 |
20K01770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森 直哉 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10364184)
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研究分担者 |
山崎 尚志 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30403223)
河瀬 宏則 福岡大学, 商学部, 准教授 (30755781)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自社株買い / 情報の非対称性 / 終了アナウンス / 消却 / 金庫株 / 売却処分 / シグナリング / シグナリング仮説 / ペッキングオーダー仮説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業のライフサイクルに応じた財務政策として、自社株の取得・再放出・消却を統一的なフレームワークのもとで理論的・実証的に分析するものである。成熟期の企業は余剰資金を減らすために自社株買いを実施すると考えられる(エージェンシー仮説)。その後、再び成長期に移行すれば、自社株の再放出によって投資機会を賄うことができる。しかし、あえて消却したがる企業はシグナリング仮説で説明される。
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研究実績の概要 |
引き続き、文献の収集、理論モデルの構築、実証分析の作業を進めている。特に、ここ1年間で実証分析が本格化している。 当初、この研究は企業のライフサイクルに応じた財務政策として、自社株の取得・再放出・消却を統一的なフレームワークのもとで理論的・実証的に分析することを目指していた。実際、取得に関する研究は数多く存在しているが、再放出や消却に関する研究はほとんど存在していないことが背景にあった。特に、消却について有益な知見をもたらし得るという判断であった。 ただ、実証分析を進めるにつれて、学術的な理論モデルで説明することが非常に難しい事実が数多く散見され、私たちを悩ませることになった。 そこで、実際に企業の経営の現場に位置している実務家から話を伺ったほうがよいと判断し、合計6社の財務担当者から、それぞれ60分程度のインタビューをおこなった。その結果、自社株の消却については何か確固たる理論的根拠にもとづいて実施しているというよりも、慣行的に実施している度合いが高いこと、金融機関からの助言にもとづいて実施している場合が多いことがわかった。そこで金融機関側の1社にもインタビューを実施したが、やはり確固たる理論的根拠にもとづいているわけでもないことがわかった。 これらのインタビューは極めて貴重であり、自社株の消却に対して実務家がどのような判断をしているのかを知る重要な足がかりとなった。それと同時に、学術的な理論モデルにもとづいて現実を説明することの困難を知ることとなった。 以上のような背景のもとで、私たちの研究は当初の予定としていた自社株の取得・再放出・消却というフレームワークに固執せず、これらを検討している過程で発見することができた別の論点に重点を移している。具体的には、自社株の取得を終了する際に株価が下落するという事実であり、これに対する理論的な説明と、統計データによる実証分析である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度の報告書でも記したように、新型コロナウイルスの影響によって当初予定していた形での共同研究ができなくなったこと、3名とも学内行政で忙殺されたこと(新型コロナウイルスへの対応が非常に多い)等により、順調には進んでいなかった。また、上述の理由により重点を置く研究対象が自社株の消却よりも取得の終了に移ったことも、遅れの原因になっている。ただ、自社株の取得の終了に対象を移して以降、理論的なモデルの構築と実証分析はペースを上げており、3名による打ち合わせの頻度も上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
自社株の取得を終了する際に株価が下落すると現象について、数は少ないが既存の論文で発見されている事実を整理し、私たち3名の考え方のもとで新しい理論的な説明を試みていることと、その考え方を裏づける統計的な結果が出るよう、いろいろと試行錯誤で実証分析を進めているところである。当分の間、この作業を続ける予定である。
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