研究課題/領域番号 |
20K01771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 浩一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30380687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | モデルリスク / 数理ファイナンス / 金融工学 / リスク管理 / リスク測度 / 金融派生商品 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,モデルリスクを独自の枠組みで捉え,新しいリスク管理の基礎理論と方法論の構築を目指す研究である.従来の研究では,モデルの不確定性を表現するために,単一のモデルを元とする一元的モデル集合を使用していたが,これは複数のモデルを使用目的に応じて使い分ける金融機関の実態と整合しない.本研究では,複数のモデルを元とする多元的モデル集合を使用することにより,この問題を克服する.モデル集合はリスク管理の根幹に関わるため,リスク管理の基礎となる3種類の問題(金融派生商品のリスクヘッジ問題,ポートフォリオ最適化問題,リスク量計測問題)の研究に取り組む.
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研究実績の概要 |
本年度は金融派生商品のリスクヘッジ問題の研究に重点的に取り組んだ. 1.金融派生商品のリスクヘッジ問題の研究:金融派生商品の価格は,原資産価格と価格式に内包されるパラメータを定めることで決定することができる.市場を観測することによって,原資産価格とパラメータの情報を得ることができ,その時間変動を数理モデルで表現することは可能である.しかし,数理モデルは近似であり,市場を完全に表現する道具と過信することは,リスク管理上,大きな問題である.本研究では,単一モデルを考えるのではなく,モデルを集合(多元的モデル集合)としてとらえることによりこの問題の解決を目指した.具体的には,想定される最悪の状況の中で金融商品のヘッジ誤差を考え,その最小化を実現する最適戦略の研究を行った.研究成果の一部を国際会議(11th World Congress of the Bachelier Finance Society)で公表した.研究成果の主な成果は以下の通り.(1)多元的モデル集合の中では,最適戦略の線形性が成立しない.(2)複数の資産のリスク管理を行う場合,単一資産の最適戦略を個別に考えるのではなく,全体資産の最適戦略を考える必要がある.つまり,ポートフォリオリスク管理が不可欠となる. 2.数値計算手法の研究:上述の研究では,多期間モデルを一期間モデルに分解し,局所リスクを基準としたヘッジ戦略を考えることにより,動的計画法の枠組みで数値計算を行うことを可能とした.結果として,計算量は期間数とともに増大するが,現実的に実行可能な計算量に抑えることができた.一方,局所リスク以外の基準を用いた場合,数値計算が実行可能な範囲に計算量を抑制するためには,理論,計算方法を大幅に見直す必要がある.そのための理論的枠組みの検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って研究を行い,研究成果を国際会議で発表することができた.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究を土台として,以下の研究に取り組む. 1.金融派生商品のリスクヘッジ問題 2.ポートフォリオ最適化問題 3.リスク量計測問題
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