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信用と保険に対する貨幣の補完的機能に関する理論研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01780
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07060:金融およびファイナンス関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

戸村 肇  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90633769)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード決済システム / フィンテック / 暗号通貨 / 電子マネー / セキュリティトークン / 海外デジタル通貨 / 中央銀行デジタル通貨 / 法貨 / 信用創造 / 債務履行手段 / 民間通貨 / 信用と貨幣 / 中央銀行 / 窓口貸出 / 手形割引
研究開始時の研究の概要

企業間信用と銀行券の関係と企業間信用における名目債務の必要性についての均衡分析では、各モデルの中での不自然な仮定な洗い出しと、現代経済へのインプリケーションの導出を申請初年度である2020年度から並行して行い、申請年度内の査読付き国際学術雑誌での掲載を目指す。、また、もう一つのプロジェクトととして、均衡モデルによる地域通貨など複数通貨一般の分析、複数通貨の実装に向けた課題の洗い出しを行う。これらの作業を申請初年度の2020年度から並行して行い、申請年度内の査読付き国際学術雑誌での掲載を目指す。

研究実績の概要

本プロジェクトの研究トピックの一つである「企業間信用での現金決済の必要性」について、祝迫得夫(編)『日本の金融システム』(東京大学出版社、2023年10月刊行)の第二章「信用経済と決済システム――新しい電子通貨は銀行預金に代わる決済手段になりうるか」を執筆した。この論文では、まず、暗号通貨や電子マネーなどの現在の銀行預金に代替する電子通貨のビジョンが標準的な経済学の貨幣理論と整合的であることを説明した。経済的価値を持つ流動資産が通貨として流通した上で、その貸借を仲介する形で銀行が現れるとする標準的な経済学の貨幣理論とは異なり、現代の銀行システムでは銀行が手元の通貨が不足している主体に銀行預金の新規残高を発行することを説明し、この仕組みにより現代の銀行システムが暗号通貨や電子マネーなどの代替的な電子通貨よりも効率的であることを説明した。また、裁判所の強制執行力の不完全性から名目債務が必要となり、この仮定から中央銀行と市中銀行の二層からなる現代の銀行システムの形態を理論的に復元できることを説明した。この理論的結果のインプリケーションとして、現代においてそれぞれの主権国家が別々の通貨を発行している事実も説明できることを説明した。

加えて、2023年度の秋季日本経済学会において、『フィンテックの発展と金融システムの変革』セッションに報告者として参加し、「フィンテックの銀行業への影響と金融規制への含意」と題する報告を行った。この報告では、競争上の要請から複数の市中銀行が存在することにより、電子決済を行うためには、それぞれの非銀行事業者が各顧客の銀行口座のある銀行とネットワーク接続を行う必要があり、その効率化のためにフィンテックが必要になることを説明した。この理解を踏まえると、中央銀行デジタル通貨は銀行システムと非銀行・個人を結ぶフィンテックの一形態として理解できることも説明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本プロジェクトの研究トピックの一つである「企業間信用での現金決済の必要性」については、現実の二層式の銀行システムで行われる電子決済の形状や課題を説明できない標準的な経済学の貨幣理論の行き詰まりを打破する形で、不完備契約理論を応用して現実の銀行システムの形状を復元できる理論を構築し、中央銀行デジタル通貨が導入された場合の形状や国家主権と通貨の関係など、現実社会で疑問とされている複数の課題に答えを導き、一般向け書籍の形で社会への研究結果の還元も行えている。

今後の研究の推進方策

本プロジェクトのもう一方の研究トピックである「社会的に有用な複数通貨制の在り方」についても、2024年度に日本証券経済研究所主催の「テクノロジーと金融革新に関する研究会」で報告し、その成果を本研究所の機関誌である『証券経済研究』に寄稿・出版することが予定されている。この論文は一般向けの解説になるので、本プロジェクトの研究成果の社会的還元の一部として位置付けられる。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] フィンテックの資金決済システムへの影響と金融規制への含意2022

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 雑誌名

      証券経済研究

      巻: 119 ページ: 79-97

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] What Will Be the Impact of Fintech on the Payment System? A Perspective from Money Creation2022

    • 著者名/発表者名
      Hajime Tomura
    • 雑誌名

      WINPEC Working Paper E2204, Waseda University

      巻: E2204 ページ: 1-17

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 全銀システム開放がもたらす変化 : 電子マネー・国際送金・銀行への影響2022

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 雑誌名

      月刊金融ジャーナル

      巻: 64(2) ページ: 10-13

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 銀行送金システムの課題と方策2021

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 雑誌名

      金融ジャーナル

      巻: 7 ページ: 18-21

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Nominal contracts and the payment system2020

    • 著者名/発表者名
      Tomura Hajime
    • 雑誌名

      The Japanese Economic Review

      巻: 72 号: 2 ページ: 185-216

    • DOI

      10.1007/s42973-020-00054-8

    • NAID

      210000164490

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] フィンテックの銀行業への影響と金融規制への含意2023

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 学会等名
      日本経済学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] フィンテックの銀行業への影響と金融規制への含意2021

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 学会等名
      「テクノロジーと金融革新に関する研究会」(日本証券経済研究所主催)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] フィンテックの資金決済システムへの影響と金融規制への含意2021

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 学会等名
      「テクノロジーと金融革新に関する研究会」(日本証券経済研究所主催)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 国家主権と決済システムの関係とその課題2021

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 学会等名
      TCER金融プロジェクトミーティング(東京経済研究センター主催)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 信用経済と決済システム2021

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 学会等名
      TCER金融プロジェクトミーティング(東京経済研究センター主催)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 「第2章 信用経済と決済システム――新しい電子通貨は銀行預金に代わる決済手段になりうるか」『日本の金融システム : ポスト世界金融危機の新しい挑戦とリスク』(祝迫得夫(編))2023

    • 著者名/発表者名
      戸村 肇
    • 総ページ数
      39
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130461399
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] researchmapの個人ホームページ

    • URL

      https://researchmap.jp/tomurah/books_etc/43885214

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] Research map

    • URL

      https://researchmap.jp/tomurah/?lang=english

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] SSRN

    • URL

      https://papers.ssrn.com/sol3/cf_dev/AbsByAuth.cfm?per_id=5643696

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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