研究課題/領域番号 |
20K01783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中岡 孝剛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (50633822)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 合併効果 / 指向性距離関数 / 地域銀行 / 不良債権 / ベンチマーキング分析 / 望ましくない産出 / 自己資本比率規制 / 生産性の分解 / 最適銀行数の推定 / 合併効果の測定 / 生産性変化の分解 / 最適産業構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではノンパラメトリックな分析手法であるDEAを応用し,我が国銀行業における再編の影響を生産性の観点から定量的に検証する.生産性の測定には,不良債権を望ましくない産出として考慮したルーエンバーガー指数を採用する.さらに,産業全体の効率性が最も高くなる望ましい産業構造,すなわち最適な銀行数の導出をDEAによる産業構造効率性分析によって試みる.これらの分析によって,銀行業における再編の効果に関する新たな知見を提供し,金融システムの安定性と持続的な成長といった政策的方針に資する研究成果の発信を行う.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,近年経済学を中心として応用が進んでいるデータ包絡分析(Data Envelopment Analysis,DEA)を用いて,我が国銀行業の再編を定量的に評価することである.本年では地方銀行と信用金庫の合併事象のデータを用いて,合併による生産性変化をスラックベースの指向性距離関数を用いて推定を行なった.分析の結果,不良債権の望ましくない産出として扱った場合と,総貸出額から差し引き,ネッティングした場合の推定結果は異なることが明らかとなり,データ包絡分析のモデルにおいて,不良債権を望ましくない産出として取り扱うことの重要性が示唆される結果となった. また,推定された合併時の生産性変化は,経営破綻による事業譲渡を伴う場合により改善される傾向にある一方で,複数のターゲット銀行が合併する場合には,合併による生産性の改善が見られないことが明らかとなった.この他,合併時の生産性変化は,合併銀行同士の店舗網の重複が大きいほど,より改善される傾向があることが明らかとなった.これらの分析結果は,学会や研究会で発表,ならびにディスカッションペーパー(英文)として取りまとめている. また,合併効果の測定モデルの新しいアプローチとして,Epure et al. (2011)の拡張を試みており,共同研究者と議論を重ねている.モデルの理論的な整合性を確認し,データを用いた検証作業に入ったところである.分析の結果は,データ包絡分析の国際学会で報告予定である. この他,最適産業構造の分析である産業構造効率性のモデル開発作業も同時に進めており,こちらも理論的な整合性が確認でき次第,データを用いた検証を行う予定である. 依然として信用金庫のデータが未整備あるいは未完全であるため,合併事象の観測値は100程度とそれほど多くないが,概ね当初予想していた結果と整合的な検証結果を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
依然として,データ整備の学生アルバイトの確保が十分でなく,信用組合のデータ整備が遅れている.しかし,整備が終了したデータを用いた分析を実施し,学会発表やディスカッションペーパーの発刊などを行うことができており,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究遂行方針としては,まず,執筆したディスカッションペーパーを改良し,海外学術雑誌に投稿する.また,早々に信用組合のデータの整備の完了し,開発した測定モデルを用いた地域金融機関の再編の効果の実証分析を行うことである.また,,最適な産業構造の分析に向けて,産業構造効率性分析(Industrial Structure Efficiency Analysis)を実施し,英文論文の執筆を行う.
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