研究課題/領域番号 |
20K01789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
邉 英治 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50432068)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 金融史 / エリート / プルーデンス / シャンド / パース銀行 / 銀行エリート / 昭和金融恐慌 / 銀行業 / 日本経済史 / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
産業革命期から高度成長期に至る銀行エリートのプロファイルの変化を検討することで、日本の銀行業の特徴が形成された要因を人的側面から分析していく本研究では、大蔵省『銀行総覧』、各行『営業報告書』、各行『有価証券報告書』、各行の社史等を収集し、銀行頭取・重役・支配人名をピックアップして、それを『人事興信録』や伝記等とマッチングすることでプロファイルを抽出、抽出データの数量分析による特徴の分析を行う。日本金融史上の重要な諸トピックとの関連についても再検討するとともに、スウェーデン等の金融エリート史との国際比較分析も行う。
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研究実績の概要 |
研究年度第4年目にあたる本年度は、銀行エリート及び銀行業に関する資料収集を継続するとともに、データ入力及び分析をさらに進展させた。また、下記にあるように、研究成果の一部を公表するとともに、さらなる研究成果の公表にむけた原稿の執筆を大幅に進めることができた。 収集した資料としては、イギリス・エディンバラへ出張し、NatWestアーカイブスに所蔵されている日本の銀行エリートに多大な影響を与えたA.シャンドの銀行取締役としての活動に関するパース銀行の諸委員会議事録(A Committee and B Committee)があげられる。資料収集と並行してシャンド研究を進め、研究成果の一部について、すなわちイギリス帰国後のシャンド再就職の際の人的ネットワーク及びプルーデンス原理の実践者としてのシャンドに関する英文ペーパーを公表した(2023年12月)。 各銀行の『営業報告書』、『有価証券報告書』、及び銀行エリートに関する伝記・自伝類についても、収集を継続した。あわせて、戦前期における100名の銀行検査官の入省時期やキャリアパスについての検討を進めた。なお、東海銀行(東京)のエリート(経営陣)等についての研究報告も行った。 国際比較分析については、私が座長・司会を務めた日本金融学会2023年秋季大会(九州大学、2023年9月)における英語セッションにおいて、香港の金融エリートのC.V.Starr等についての専門的な知見を得るとともに、学会ではエリートの持つカリスマ性の中身とその普遍性について、英語で議論を行った。 さらに、グラスゴー大学、ウプサラ大学、ローザンヌ大学の国際共同研究者との研究打合せも継続しており、国際ジャーナル特別号(Management & Organizational History: Special Issue on Human Capital in Financial Regulation and Supervision)の筆頭編集者として作業を進めており、本研究成果の一部を公表するべく次年度中の発刊を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も研究図書委員長など引き続き学内の要職についており、資料収集のための国内出張の回数や資料・データの分析時間を減らさざるをえず、コロナ禍や同僚の異動などによって生じた前年度までの研究の遅れを、完全には取り戻すことはできなかった。 もっとも、これまで延期してきた海外出張は実施することができ、海外での資料収集については一定の進展があり、金融エリートであるシャンドについての研究成果の一部を英文ペーパーで公表するなど、研究の進捗の遅れはある程度取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により実施できなかった東京大学経済学部図書館での資料収集は、2023年度より再開でき、国立国会図書館での資料収集も続いている。時間のかかる史資料の収集はある程度進んだため、今後はデータの分析や研究成果の公表が大幅に進展する予定である。実際、研究成果の一部を、単著として近々のうちに刊行できる見込みである。 なお、私が筆頭編集者を務める国際ジャーナル特別号についても、時間のかかるレフェリーの確保などの調整作業が終わり、現在セカンドラウンドの段階まで進んでおり、2024年度の刊行を見込んでいる。
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