研究課題/領域番号 |
20K01792
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
雨宮 昭彦 東京都立大学, 経営学研究科, 客員教授 (60202701)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 景気変動論:景気循環論 / 貨幣論 / 短期的変動、長期的トレンド / 経験的・帰納的:演繹的 / 統計的・数学的 / ハーバード・バロメーター / 貨幣のノミナリズム / 貨幣・信用改革 / コブ=ダグラス型生産関数 / 景気循環と景気変動 / ボルヒャルト論争 / ハーヴァード=バロメーター / 価格変動の三系列(先行、一致、遅行) / リベラル・コーポラティズム / 経済の「静態」と「動態」 / 経済の長期トレンド / 景気研究所 / ヴァーゲマン / 金本位制 / マネーサプライ / フィッシャーの交換方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、第一次世界大戦後のドイツ・ヴァイマル共和国の首都ベルリンに1925年、国家 統計局長エルンスト・ヴァーゲマンにより設立された「景気研究所」を拠点に展開されたドイツのマクロ経済の実態に関する調査研究活動と、所長ヴァーゲマンの貨幣理論・景気変動論の研究を、彼の最も重要なデフレ対策案であるヴァーゲマン・プランとの関連の中で明らかにすることを企図する。本テーマに次の3つの視角からアプローチする。1)景気研究所のマクロ経済調査の方法と内容、2)ヴァーゲマンの貨幣理論と景気変動論の内容と研究所の実態調査との関係、3)通貨制度改革により通貨供給量の拡大を主張したヴァーゲマン・プランの意義。
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研究実績の概要 |
筆者は2020年10月に発表した論文「エルンスト・ヴァーゲマンまたはワイマール期ドイツにおけるマクロ経済学的分析の発展」において、ヴァーゲマンの二つの著書、『景気変動論』(1928年)と『景気変動論入門』(1929年)を分析し、以下の論点を明らかにした。 レプケらの反経験的な景気循環論の演繹的立場とは異なり、国家統計局長であり、またベルリン大学教授で、自らが創設した景気研究所の初代所長でもあったエルンスト・ヴァーゲマンは、景気変動論の立場から、経験的・実証的・数学的に1920年代のドイツ経済を分析した。研究所はリベラルコーポティズムを支持母体としていた。ヴァーゲマンは、当時のドイツが置かれた「金の束縛」から距離をおき、アメリカのハーヴァード・バロメーターの手法に手がかりを得つつ、統計調査を踏まえて景気変動カーブを抽出し、その分析に基づいて不況期の「通貨・信用改革案」を訴えたが、それは、金に束縛されたライヒスバンクをはじめとする当時のドイツのエスタブリッシュメント、またレプケらのアカデミズムの強力な反対に出会って挫折した。 ヴァーゲマンの経済分析は、経済調査研究の方法のみならず、貨幣を「広義流動性」と把えること、経験的分析に基づいて「三面等価の原則」(所得=価格=生産費)を導出したこと、長期トレンドと短期変動を区別して、景気循環をごく短期の現象と過ぎないと見たことにおいて、今日のマクロ経学の先駆とみなしうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年5月に脳出血で倒れて5か月間入院生活を送り、退院後も体調がなかなか回復しなったため、2021年3月に論文を発表したのを最後に、具体的研究成果を上げることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ヴァーゲマンの貨幣論(Was ist Geld?)を読み進めており、この著作の紹介・分析を中心に議論を深めて行きたい。 研究計画上の変更は特にない。
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