研究課題/領域番号 |
20K01793
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
野村 親義 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80360212)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 植民地期インド / 製造業 / タタ鉄鋼所 / サービス・レコード / 労務管理制度 / 社会的属性 / 労働者 / 労働生産性 / インド / 植民地 / 生産性 |
研究開始時の研究の概要 |
1980年代自由化政策に舵を切ったインド経済は、その後平均6%を超える経済成長を実現しているが、その成長は「雇用なき成長」と評される。背後には、人口の大半を占める中程度の教育を受けた層の雇用吸収力が大きい2次産業が十分成長せず、失業率が高止まりしているという事情がある。 本研究は、自由化政策が世を覆った植民地期インドでも現在同様2次産業が停滞していたことに注目し、その原因の一端を、20世紀前半インド最大の近代的製造会社タタ鉄鋼所の労働者の社会的属性と労務管理制度改革・生産性との関係を明らかにすることで、考察する。なお分析にはサービス・レコード(職員簿)記載の労働者各人の社会的属性情報を用いる。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自由化政策が広く世を覆った植民地期インドで現在同様2次産業が停滞していたことに注目し、その原因の一端を、20世紀前半インド最大の近代的製造会社タタ鉄鋼所の労働者の社会的属性と労務管理制度改革・生産性との関係に注目しつつ、考察することである。その際本研究は、1920・30年代同鉄鋼所に従事した労働者のサービス・レコード(職員簿)が提供する、各々の労働者の年齢、出身地、宗教・カースト、識字能力、職種、給与、昇給などの情報を基礎に、労働者の社会的属性が、労務管理制度改革・生産性といかなる関係があるのか、分析することを研究の主眼としている。 本研究遂行上必要な作業の一つとして、タタ鉄鋼所の労働者のサービス・レコードの追加収集作業があった。当該作業、コロナ禍の影響から長く実行不可能であったが、2023年3月にようやくインドに渡航することができ、当該作業を開始することができた。その際、当初予定していたサービス・レコードではないものの、サービス・レコードに代替しうる、タタ鉄鋼所会社内技術学校タタ技術学校入学者数百人分の個票(1930年代以降)を入手し、当初想定していた作業と同様の作業を行う基盤整備ができた。 2023年度は、すでに代表者が有していたサービス・レコードから明らかになる労働者の社会的属性と、2022年度新たに追加収集したタタ技術学校入学者が示す労働者の社会的属性とが、同種のデータとして利用可能か否かを検討することから作業を開始した。検討を通じ、利用可能と判断することができたことを踏まえ、2023年度は、2022年度追加収集したタタ技術学校入学者個票をエクセルファイルに移すことに多くの時間を割いた。加えて、2022年度は、8月イギリス・ロンドン、3月インド・デリーに滞在し、植民地期インドの2次産業の発展に影響を与えた政府資料等の史料収集を進めることもできた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、コロナ禍のもとなかなか作業を開始することができなかったサービス・レコードを補完する史料の整理を開始することができた。2023年度は、当該作業により、ようやく当該研究課題を本格的に前進させることができた。2023年度は、これら整理作業を通じ、代表者がすでに有していたサービス・レコードと2022年度新規に収集した個票は比較検討可能な史料であることを明らかにした。また、2023年度は、イギリス・ロンドン、インド・デリーにおいて、植民地期インドの2次産業発展に影響を与えた経済政策動向を示す統計資料の収集に成功した。 これら史料整理作業により、本研究の当初の目的であったタタ鉄鋼所労働者の社会的属性と労働生産性との関係に関する分析を本格化する準備が整いつつある。もっとも、コロナ禍の影響で、史料収集作業自体が大きく遅れたこともあり、史料整理作業の結果を刊行するところまでには、現段階でいたっていない。
|
今後の研究の推進方策 |
当該研究は、当初、2023年度が研究最終年度であった。ところが、先述の通り、当該研究遂行上最重要作業であったインドでの史料の追加収集が、当該研究初年度である2020年度以降程3年にわたり事実上実現不可能であり、研究遂行が大きく遅れた。2023年3月にようやくインドに渡航し、この遅れを取り戻すきっかけ得ることができた。 2023年度は、この遅れを取り戻すべく、追加収集した史料の整理作業に多くの時間を割いた。しかし、整理した史料を基に論文を執筆するところまでには至らなかった。そこで、代表者は、2023年度終了予定であった当該研究の1年間の期間延長を申請した。それが許可されたことにより、現在代表者は、2024年度末を期限に、当該研究の完成に向け作業を続けている。
|