研究課題/領域番号 |
20K01820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
石 瑾 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70403227)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 新興市場発多国籍企業(EM-MNEs) / 二重の国際化 / 標準化 / 適応化 / 戦略志向 / エコシステムの構築 / Parenting advantage / エコシステム / 新興市場発多国籍企業(EM-MNEs) / 競争劣位 / 資源探索型国際展開 / 新興市場発多国籍企業 / 国際展開の戦略志向 / ビジネスモデルのイノベーション / 競争優位 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年グローバル市場において飛躍を遂げてきた新興市場発の多国籍企業(EM-MNEs)にフォーカスし、これらの企業の競争優位構築のプロセスおよびメカニズムを解明するものである。具体的には、「早期の国際展開」と「エコシステムの構築」を軸にし、EM-MNEsの競争優位に関する理論枠組みを提示する。そうすることによって、従来の先進国発企業をベースに発展してきた既存の多国籍企業論を拡張するとともに、新興のエコシステム論に新たな知見を加える。さらに、今後エコシステム戦略を展開しようとする企業や EM-MNEsの競合企業に対しても実務的なインプリケーションを提示する。
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研究実績の概要 |
今年度の研究成果をまとめたものとして、一本の学術論文と一本の国際会議論文を完成した。「新興国発多国籍企業の国際戦略」と題する論文は、『国際ビジネス研究』の第15巻第1号に掲載された。また、「Dual-internationalization strategies of emerging market E-tailer」と題する論文は、国際会議EMAC(European Marketing Academy) Annual Conference 2023で発表された。 この一連の研究は、新興国発多国籍企業の異質な国際化プロセス、いわゆる「二重の国際化」に焦点を当てて検証し、二重の国際プロセスにおいてはどのような戦略(標準化戦略それとも適応化戦略)が用いられるかを明らかにしたものである。具体的には、中国のアリババ・グループを代表事例として取り上げ、これまでのインタビュー調査を踏まえ、先進国と新興国市場における当該企業の国際戦略についてそれぞれ分析した。 その結果、以下のような結論が得られた。第一に、新興国発多国籍企業が二重の国際化を行う際、先進国においては、市場の異質性を考慮した適応化戦略を用いて対応するのに対し、母国と類似性の高い新興国市場においては、標準化戦略を駆使する傾向がある。第二に、新興国発多国籍企業は、市場類型に合わせて異なる戦略を採用するのは、先進国市場と新興国市場においてそれぞれ異なる戦略志向を持っているからである。具体的には、先進国市場においては、資源探索型の戦略志向が強く、また、新興市場においては、資源活用型の戦略志向が強い。このように、新興国発多国籍企業の二重の国際化における「二重」が、既存文献が指摘した「先進国市場」と「新興国市場」といった市場類型の二重だけではなく、「資源探索」と「資源活用」といった戦略志向の二重も意味しているのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したインタビューを遂行し、必要なデータを収集できたことや、論文や国際会議の発表を通して、研究成果を発信できことを踏まえ、概ね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は、主に新興国発多国籍企業の「国際化」に焦点を当てて行われてきた。当初の研究計画書に示される通り、もう一つの重要なテーマは新興国発多国籍企業の競争優位に関する「エコシステムの構築である。今後、以下の課題を焦点に当ててこれまでの研究を整理ていきたいと考えている。まず第一に、これらの企業が如何にしてエコシステムを構築したのか、次に、エコシステムのメカニズムとはなにか。そして最後に、これらの企業が如何にしてエコシステムを通して競争優位を獲得したのか。 また、翌年度はこの研究の最終年度となる。これまでの研究をよく整理し、論文や学会発表の形で研究成果をまとめ、積極的に情報発信していきたいと思っている。
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