研究課題/領域番号 |
20K01823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 健太 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (70507201)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 特許 / イノベーション / 新技術分野 / IPC / 特許分類 |
研究開始時の研究の概要 |
経済学や経営学では、「新結合(new combination)」こそが「イノベーション」であるとしたシュンペーターのイノベーション観に依拠して、「特許分類の新たな組み合わせ」を新たな技術分野の代理変数とすることが多い。この指標は、単純な集計によって新規の技術分野が特定できるといった利点があるものの、指標の精度に疑問が残る。そこで、本研究では、①特許出願のIPC分類などの書誌情報を統計的に分析することで、簡便な方法で網羅的に新技術分野を識別する手法を開発する。また、②経済学・経営学分野でなじみの深い特許指標である「特許分類の新たな組み合わせ」の有用性及び使用上の留意点を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は前年度に引き続き、特許出願が既存技術分野と新技術分野のどちらに属するかを表すダミー変数を従属変数とし、各種書誌情報を説明変数に用いた回帰分析を行い、新技術分野と相関する要因の特定を試みた。新技術分野の特定方法としては、IPCの再配置情報を用いた。分析の結果、複数の属性について説明力が認められるものの、現状では頑健な傾向を見出すに至らず、論文の取りまとめに着手できなかった。そこで最終年度に向けて残された課題を整理し、2023年度を終了した。残された課題は以下の通り。 従属変数のmeasurement errorをさらに小さくする必要がある。また、PSM(propensity score matching)によってサンプルに含まれる特許の属性を均一化することも必要である。これらの処置が新技術分野の特定モデルの精度向上に寄与する。モデルの精度は、交差検証(cross-validation)によって確認される。その他、新技術の特定に関する既存の方法と比較や、新たな技術分野についての定性的情報との整合性を確認することも重要。最後に、本研究で提案する手法を用いて新たな技術分野の誕生確率が上昇しているIPCを特定し、モデルの利用可能性や留意点を論じる。以上の分析結果に基づき、2024年度後半には出版準備を行い、研究を総括する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでに、コロナ禍により実務家の協力が得にくかったこと、予定していたリサーチ・アシスタントが渡日できなかったことなどが影響し、全般的に想定よりも研究が遅延した。新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更による再延長が認められたので、最大限研究期間を利用し、研究の総括に努める。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究期間の最終年度であるため、以下の点についてこれまでの分析を精緻化し、論文をまとめ、研究課題を総括する。
①検索IPCデータの利用可能性及びその特性、留意点等をまとめ、特許分析の基礎資料とする。 ②検索IPCの再配置によって特定された「新たな技術分野」について、それらに属する特許の属性を回帰分析によって特定する。 ③②の識別モデルに各説明変数の値及び上で得られたパラメータの値を代入することにより、任意の新規特許出願が新技術分野に属する確率を計算できる。また、モデルの利用例として、新技術分野の出願が増加しているIPCを特定し、企業の研究開発、知財戦略、政府のイノベーション促進策の基礎資料となる集計を行う。
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