研究課題/領域番号 |
20K01831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
林 正 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (50434270)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 経営学 / 国際経営 / 海外子会社 / 立地選択 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、各国の都市における地域特化の経済性、都市化の経済性、および国際的接続性が、価値連鎖における各活動に取り組む海外子会社の立地選択に対してどのような影響を及ぼすのかという問題の解明に取り組むものである。日本企業の海外子会社が立地する各国の都市の特徴と海外子会社の活動内容をまとめた定量的データベースの構築、および定性的資料の収集を行う。それらを活用した実証分析を通じて、多国籍企業の価値連鎖、および経済地理学における集積の経済性と国際的接続性の視点から、海外子会社の立地選択の決定要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、各国の都市間におけるビジネスサービス業の接続性や物流および人的交流を促すインフラストラクチャーの接続性と海外子会社の立地選択の関係について、先行研究のサーベイとデータの整備を進め、定量的分析を実施した。まず、2021年度までに整備してきた欧州諸国に立地する日本企業の海外子会社に関するデータと、EurostatおよびEsponに記録された欧州諸国内の地域に関するデータの接合を行った。各国における地域のデータの多くは第2種地域統計分類単位で記録されているため、その地域統計分類単位に日本企業の海外子会社の住所を対応させた。次に、これらのデータを用いて、先行研究のサーベイにもとづき、都市間の接続性が多国籍企業の海外事業にもたらすメリットとその産業間での違いに注目して、日本企業の欧州諸国における立地選択要因の分析を行った。分析の結果、都市化の経済性や事業所の密度といった集積の経済性の影響を考慮したうえでも、日本企業は欧州諸国において都市間のビジネスサービス業の接続性と、空運や陸運によるインフラストラクチャーの接続性が高い地域に海外子会社を立地する傾向が見られた。また、企業が都市間でのビジネスサービス業やインフラストラクチャーの接続性が高い地域に海外子会社を立地する傾向は、製造業よりもサービス業において強まることが見出された。さらに、サービス業を知識集約的サービス業とそれ以外のサービス業、また製造業をハイテク製造業とローテク製造業に分類した分析を行った。サービス業では、知識集約的サービス業の場合はそうではないサービス業よりもインフラストラクチャーの接続性が高い地域を選択しやすいことが見出だされた。一方、ハイテク製造業とローテク製造業とでは、都市間の接続性が海外子会社の立地選択に及ぼす効果に明確な差は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外子会社の住所や地域における集積の経済性に関するデータは第3種地域統計分類単位で整備してきたものの、都市間のインフラストラクチャーの接続性について入手できたデータは第2種地域統計分類単位のものであった。それらのデータの地域統計分類単位を対応させるのに予想を上回る時間が必要とされた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2022年度までに第3種地域統計分類単位で整備してきた日本企業の欧州諸国における海外子会社の住所や集積の経済性に関するデータと、第2種地域統計分類単位でまとめた都市間の接続性や制度環境に関する地域のデータを活用して、マルチレベルの海外子会社の立地選択モデルを構築する。複数のホスト国での複数の地域における都市間の接続性と集積の経済性が多様な活動に取り組む海外子会社の立地選択に及ぼす影響の分析を行う。
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