研究課題/領域番号 |
20K01839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
澤谷 由里子 名古屋商科大学, 経営学部, 教授 (60708220)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | デザイン機能 / デザイン思考 / Effectuation / サービスイノベーション / 知識創造 / ラディカルイノベーション / サービスデザイン / イノベーション / デザイン / 技術経営 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、サービス化・デジタル化によるイノベーション創出と企業競争力の強化のために、企業はデザイン機能を戦略レベルに高める方法を模索している。イノベーション活動の標準化であるISO56002イノベーションマネジメントシステム、日本政府によるデザイン経営の推進、企業におけるデザイン思考の導入等、デザイン機能の活用が進められている。しかしながら、企業でのデザイン機能の適応は個人やチームなど部分的にとどまり、戦略レベルで組織を連携し、イノベーション力を高める方法についてはほとんど知られていない。本研究は、企業が経営および戦略レベルでデザイン機能を活用するための実践に基づく方法論と理論開発を目指す。
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研究実績の概要 |
現在企業は、イノベーション創出と企業競争力の強化のために、 デザイン機能を戦略レベルに高める方法を検討してい る。イノベーション活動の標準化、日本政府によるデザイン経営の推進、企業におけるデザイン思考の導入等、デザイン機能の活用が進められているが、効果は局所的であり、短期的視点で評価することで永続性のある活動にはなっていない。教育プログラム等の導入によって、個人やチームなど部分的には企業のデザイン機能が適応されつつある。一方、それらの活動と戦略活動とは隔たりがあり、戦略レベルで組織を連携し、イノベーション力を高める方法について模索状態である。 本研究は、企業が経営および戦略レベルでデザイン機能を活用するための実践に基づく方法論と理論開発を目指し、企業と共同研究を行なっている。経営学、イノベーション、アントレプレナー研究において、新規事業開発のプロセス解明に向けた研究活動が盛んになってきており、その中でも特にeffectuationに注目している。企業調査の中で新規事業を開発した担当者が、当初想定された戦略的目標とは異なる事業を立ち上げる中で、個人の持つ知識・関係を活用するeffectualな行動特性が発見された。これまでの技術戦略とそれに伴うイノベーション中心であった企業において、人間中心デザインで認識される価値や新しい意味によるイノベーションが創造されつつある。初期の成果としてその事例を学会で報告し、現在事例集の作成を行なっている。また、理論的成果として企業におけるデザイン活動とイノベーションの関係性についての論文がeffectuation conference等で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、サービスイノベーション創出のためにデザイン機能を、個人・チームレベルから組織・戦略レベルに導入するための理論開発と実践・検証を目的とし ている。関連する領域としてイノベーション研究、アントレプレナー研究およびデザイン研究があり、これらの文献を中心に研究調査を進めている。 イノベーションとデザイン研究では、デザイン活動による知識創造とイノベーションの関係を調査している。具体的には、企業資源の動的な変化を考慮したdynamic resource capability、組織変容・統合を促すセンスメーキング、制度化理論、デザイン理論、effectuation理論との関係を吟味している。デザイン活動を知識創造のための活動と位置づけ、その方法によって多様な知識が作られると仮定する。それらとイノベーションとの関係の検証を試みた。 一方、アントレプレナー研究およびデザイン研究では、effectuationとデザイン特性について比較している。新規事業開発において科学的に見出されたeffectuation 理論を基礎とする。本研究では、その活動がスタートアップのみではなく、企業においても実施されていることを発見した。さらに、その活動において、effectualな活動とデザイン活動が見出された。それらの共通点および差異についての理論的理解を深めている。f2fでの会議などができず、情報収集に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
企業における戦略形成についてのインタビュー調査、企業における新規事業開発のプロセスの調査、effectuationおよびデザイン活動の観点から、事業創出における意思決定とアクションについて分析を進める。それによって、企業における戦略形成のための活動について理解を深め、イノベーションのプロセスを策定する。また、企業における新規事業開発のプロセス分析から、起業活動とデザイン活動の特性についての理解を深める。さらに、企業における新規事業開発を支援するための仕組みについての知見を得ることを目指す。
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